こういった詐欺、拉致、監禁に繋がるトラブルは「証拠がない」「強制力がない」ことが原因である場合が多い。
個人間のやり取り、しかも会社のような業者間で行われるような契約書はなく取引明細もないため、被害者側が泣き寝入りすることもある。
SNSというものを活用するのは良い。
しかし、世の中にはシステムの裏をかき悪用する、悪い言い方をすれば自分の利益だけを追求する人間も存在することを忘れてはならない。
世の中には善人だけではない。
身近な話でいうと、飲食店予約システムのドタキャンがそうだ。
予約したらお客さんが来てくれる「だろう」という前提のシステムであって、キャンセルした際の料金はいくらと記載されていても実際にお客さんが払ってくれるかは分からないのだ。
店側が不利益を被るわけだが、実はこのシステムに「前払い制」を導入すれば簡単に解決する。
「相手が善人ではない」ことが前提であるため善人にとっては居心地が悪いかもしれないが、いくらか前払いしなければ予約できないシステムにしてしまえば、前払いした料金を惜しいと思う限りドタキャンはなくなるはずだ。
仮にドタキャンがあったとしても、前払いされた金額はそのままお店の懐に入る。
しかし、これは理想論であって現実はそう上手くいかない。
SNSで行われる個人撮影の募集の場合、撮影後現金払いであることがほとんどだからだ。
もちろんきちんとした企業であるなら領収書を書くなり銀行振込にするのだが、個人撮影においては「仕事」という認識はほとんどなく、個人の差はあるが「趣味の撮影に金銭が発生した」程度の認識であることも多い。
距離が近しい者同士なら不安や恐怖はないだろう。
けれど、SNSは実際の距離ではない。
相手の顔も分からなければ年齢、住んでいる地域、本名、身分証明書の提示も必要ない。
AV業界では、「身バレ防止」は女優のプライベートな部分が特定されることを防ぐ意味で使われるが、同人AVでは「お互いの身分を明かさない」というズレた意味合いが強い。
さらに契約書がないため、撮影されたデータがどんな扱いをされるのか想像しなければならないという危機管理能力が問われる部分でもある。
上記の記事でもあるように、身分が証明できない相手と会い裸体の撮影やそういった行為をするのは危険と隣り合わせであることを忘れてはならない。
疑ってかかるのはお互いに気分が悪い。
ならば、疑う必要がないように事前に誠意を見せ自らの身分を証明すれば良いだけの話だ。
しかし同人業界の過去を振り返ればこれも理想論でしかない。
これは信頼できるプロダクション又はスタジオに間に入って貰えば解決するのだが、取られる手数料を考えるとまたグレーな部分が出てくるのだ。
今後、同人関係の仕事にもAV新法が適用されるはずだが、SNSを利用した個人撮影を管理する術は今のところないと言っていい。
法の手が届かない分闇深いものである。
単純に見えて一枚岩ではないのが難しいところだ。
ちなみに、適正AVの現場ではこういったトラブルはほぼない。