「精神健康の基準について」より
- 分裂(splitting)する能力、そして分裂にある程度耐えうる能力
- 両義性(多義性)に耐える能力
- 二重拘束への耐性を持つこと
- 可逆的に退行できる能力
- 問題を局地化できる能力
- 即座に解決を求めないでおれる能力、未解決のまま保持できる能力
- 一般に嫌なことができる能力、不快にある程度耐える能力
- 一人でいられる能力、二人でいられる能力
- 秘密を話さないで持ちこたえる能力、嘘をつく能力
- いい加減で手を打つ能力、意地にならない能力、いろいろな角度からものを見る能力、若干の欲求不満に耐える能力
- しなければならないという気持ちに対抗できる能力
- 現実対処の方法を複数持ち合わせている
- 徴候性へのある程度の感受性を持つ能力、対人関係を読む能力
- 予感や余韻を感受する能力
- 現実処理能力を使い切らない能力
15.現実処理能力を使い切らない能力
現実処理能力を使い切らない、あるいは使い切らすように人に仕向けないこと。
倒れるまで頑張らない、とも言い換えられます。
そこまでやらないと頑張っている感じがしない、
全力をださない=手を抜いている→そんな自分じゃ認めてもらえない
という発想は、とても疲れるし、生きづらい。
人生において、全力を使い切らねばならない場面はそんなに多くないはずです。
受験や何かの発表など、大きなイベントならまだしも、
日々の学校や仕事も、倒れながら行き続けるようでは、続かないし、
何かが合っていないはず。
そんな通い方、働き方を強要してくるブラックな人とは離れた方がいいし、
誰も幸せになれません。
中井久夫先生があげられた健康定義15を見てきましたが、
やはり総じて「余裕をもつ」ことが大切なのだと思いました。
余裕がない生活は、しんどい生き方です。
余裕を使い切らない
それは手抜きではない。
それはまた、人生における優先順位を確認することにもなります。
学校や仕事は、人生における最優先事項にはなりえないはず。
仕事するために生まれてきたわけではないですからね。
じゃあ、なんのために生まれてきて、生きているんだろうか。
その答えになりうるものに使うために、余力は残しておきたいものです。
そういう意味でも、また古典・歎異抄を読み返してみたいと思います。