こちらの続きです。

 

 

人は自分の大切な人やものを失った時、

その喪失をしっかりと嘆き悲しむことで

それを乗り越え、前に進むことができます。

 

 

でも、そこに純粋な悲しみ以外の

複雑な感情が隠れていたり

別れ自体が中途半端だったりすると

(亡くなったのではなく、行方不明…など)

 

気持ちがいつまでもそこにとらわれ

前に進めなくなることが多いのです。

 

 

私自身の体験に絡め

喪失のトラウマについて

以前、こちらの記事でも書いています。

 

 

さて、〇子さんの場合

長い療養休暇の末、

そのまま退職が決まり

 

会社にも行かず、

書類のみのやり取りで

フェイドアウトするように

会社を去ることになってしまったので

 

ある意味、納得のいくお別れが

できていませんでした。

 

 

 

「対象喪失」のセッションは

お別れをすると決めた対象と

向き合うことから始まります。

 

 

〇子さんは

長年勤めてきた「会社」と向き合い

 

悲しみ、恐れ、怒り…

 

そこで感じていたいくつもの感情を

ひとつひとつ丁寧に感じ

言葉にしながら伝え、手放していきました。

 

 

自分でも意識できていた感情もあれば

こうして向き合うことで

潜在意識の奥から浮かんできた感情もあり

 

そこには〇子さんが会社で過ごした

35年がギュッと凝縮されていました。

 

 

 

最後に伝えるのは

「ありがとう」の気持ち。

 

 

「学校を卒業してから

今までの自分をつくってくれて

ありがとうございました」

と〇子さんは伝えました。

 

 

そして

 

「少なくともここにいる間は

ベストを尽くしたつもりです。

私が35年間この会社にいたことを

なかったことにしないで。

私を忘れないでください…」

 

とつぶやいた言葉が

彼女の真の願いなのだと

私の心にも静かに響きました。

 

 

 

そして、〇子さんは

自分の未来にこう宣言しました。

 

 

「これからは世間体よりも

自分が本当にいいと思うことを

選びます。

自分が楽しい、うれしいと思うことで

人の役にも立って、

みんなが幸せ…となるように

私は生きていきます」。

 

 

それはとても〇子さんらしい

言葉だなと思いました。

 

 

 

最後に長年勤めた会社に

「さようなら」を告げて

セッションは終了。

 

 

 

 

無事、会社とのお別れを

終えた〇子さんに

私からのささやかなプレゼントを飛び出すハート

 

 

「35年間、本当にお疲れ様でした」

の花束贈呈のセレモニーです。

 

 

実はこのアイデア

当日の朝に思いついたので

 

花束は散歩道に咲いていた

野の花たちウインク

 

 

ちょうど〇子さんが好きな

「黄色」のお花が咲いていたので

これを中心に、ウツギの白い花と

組み合わせて小さな花束にしました。

 

 

花束を持つ彼女の

晴れやかな笑顔を記念撮影して

退職のセレモニーは終わり。

 

 

 

花束の色みと

〇子さんの手帳?ノートブック?

との色の相性が素敵でした。

 

 

 

後日談ですが

 

セッションをした翌日あたりから

いろんな展開が次々起きて

 

〇子さんが前から「学びたい」

と言っていた講座の受講が

とんとん拍子で決まり

 

早くも望む未来に向かって

一歩を踏み出したそうです。

 

 

 

そう!物事って

ちゃんと終わらせる

ちゃんと始まるのですよね。

 

 

 

でも、本当に大切なものや

長く握りしめていたものと

お別れするのは簡単じゃありません。

 

 

〇子さんもそうだったように

自分でも気づかないような

遠い過去の想念やトラウマの恐怖が

そこに紐づいていて

手放すことを邪魔するからです。

 

 

しかも、それは複雑に絡み合って

どこからほどけばいいのか

分からないことも多くて…。

 

 

でも、〇子さんはあきらめず、

コツコツ自分と向き合うことを

続けてくれました。

 

 

ここに来るまでに2年と少し。

 

長いような、短いような…

 

 

そう考えると

「対象喪失」のセッションって

”卒業セレモニー”

みたいなものなのかもしれません。

 

 

ひとつのステージを終えて

次のステージに行くための…ね照れ

 

 

 

ところで、「対象喪失」には

いろんな種類がありまして

 

大切な人との死別や離別

流産や中絶

病気や事故で身体の一部を失うこと

今までできたことができなくなること

慣れ親しんだ環境や家を失うこと

キャリアや夢をあきらめること

親の認知症…など

 

それはもう多岐にわたります。

 

 

結婚や子どもの自立なんていう

一見、喜ばしいことも

人によっては「喪失」と感じる場合も。

 

 

 

私たちは生きるために

知らず知らず

たくさんの感情を封印しています。

 

 

”なかったことにした感情”は

体の中に溜まって心と体を重くし

 

落ち込み、やる気が出ないなどの

不調を引き起こします。

(抑うつ神経症など)

 

 

大切なものを失った悲しみを

直視するのは本当につらいのですが

 

長い目で見れば

”なかったこと”にする弊害の方が

ずっとずっと大きいのです。

 

 

私もこれ、何十年もやってきたから

よーくわかりますショボーン

 

 

でも、〇子さんのように

ちゃんと向き合ってお別れすると

 

心と体がふっと軽くなって

自然と新しい道へと導かれていくんですねキラキラ

 

 

 

 

あなたの中にも

ちゃんとお別れできていないものが

ひっそり隠れてないでしょうか。