2024年は能登半島の地震で始まった。
ますます先行きのわからないこの世だけれど、かわらず一日一句しずかにつぶやいている。
2024年1月の俳句をまとめました。
日にちをクリックすると該当の俳句が聞けます。
1/1 わが道をゆくあらたまの杖いつぽん 黒田杏子
1/2 初夢の向うから来る我に逢ふ 黒田杏子
1/3 生きてゐる人に手紙を書く三日 黒田杏子
1/4 羽子板の役者のかほのもの足らぬ 黒田杏子
1/5 死者のこゑとてなつかしき五日かな 黒田杏子
1/6 凭らざりし机の塵も六日かな 安住敦
1/7 今ここで死んでたまるか七日くる 山本有三
1/8 松過ぎて再び雪の大路かな 浅野白山
1/9 冬麗の微塵となりて去らんとす 相馬遷子
1/10 雑炊や猫に孤独といふものなし 西東三鬼
1/11 あたらしき筆を噛む歯の寒さかな 久保田万太郎
1/12 けだものと同じ寒さの中にゐる 山口波津女
1/13 焚火かなし消えんとすれば育てられ 高浜虚子
1/14 くれなゐの色を見てゐる寒さかな 細見綾子
1/15 冬の蝶魂抜けて飛び廻る 星野立子
1/16 ウソをいはないあんたと冬空のした 種田山頭火
1/17 凍蝶を過ちのごと瓶に飼ふ 飯島晴子
1/18 冬の空水美しくありしのみ 飯田龍太
1/19 冬の空昨日につづき今日もあり 波多野爽波
1/20 大寒へ身を押し出して何ぞある 村越化石
1/21 よろけ来て冬将軍が戸をたたく 佐藤鬼房
1/22 冬天へらくがきをして昏れてゐる 三橋鷹女
1/23 冬空は澄みて大地は潤へり 中村草田男
1/24 凍蝶のそのまま月の夜となりし 深見けん二
1/25 いくたびもすわり直して寒さかな 久保田万太郎
1/26 ひとたびは死なねばならぬ寒満月 黒田杏子
1/27 臘梅や枝まばらなる時雨ぞら 芥川龍之介
1/28 なんとなく街がむらさき春を待つ 田中裕明
1/29 地の底に在るもろもろや春を待つ 松本たかし
1/30 蛸の足三本買つて春隣 鈴木真砂女
1/31 震災の翳一月の虹の石 後藤比奈夫
立春まで、あと四日。
今季の冬の句は、あと三句。
今日も少し、春の支度をしました。