急須 ――朝日歌壇から―― | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 昨日(30日)の朝日歌壇に、こんな歌があった。

 

 小学生調理実習学ぶこと急須でお茶を入れることと

              (名古屋市 磯前睦子)

 

 急須を知らない子どもが多い。

 ことのは学舎では、お題を言葉で説明して当てる「説明ゲーム」を毎日やっているが、急須は、絵を見せても分からない子どもがいる。

 見たことはあっても、名前は知らないことが多い。

 家庭で急須を使ってお茶をいれることがないのである。

 

 先日、うちの娘が京都の修学旅行のお土産に、宇治茶を買ってきてくれた。

 急須を用意して、丸い缶を開けてみたら、ティーバッグであった。

 せっかくなので、急須ティーバッグを入れて、お茶をいれた。

 二つの湯のみに、少しずつ交互に注いでいたら、娘が「そのいれ方、家庭科で習った」と言った。

 急須は学校で習う時代である。

 

 わたしは、小学生の頃から自分で急須でお茶をいれて飲んでいた。

 当時、紅茶ティーバッグはあったが、緑茶はなかったように記憶している。

 反対に、紅茶ティーバッグでなくポットでいれることを覚えたのは、大人になってからである。

 子どもの頃、ティーバッグでない紅茶の茶葉も売られていたが、我が家にはティーポットがなかった。

 ティーポットに被せる保温カバーなど、この世に存在することも知らなかった。

 生活習慣が変わっただけであり、急須を知らないからといって、最近の子どもが無知なわけではない。

 ただ、大人の目から見て、こんなものも知らないのか、と驚くだけである。

 

 「説明ゲーム」で子どもが知らなくて驚くものは、他にもある。

 たんすは、知らない子どもが多い。

 升(ます)鉋(かんな)は、ほとんどの子どもが知らない。

 そのくせ、トングは知っている。

 

 テストには出ないけれど、いろいろな道具を知っておいた方がよい。

 授業で、ゲームや本を通じて教えていこうと思う。

 

 そういえば、パンの袋の口を止めるやつの名前を教えてもらって事があるが、忘れてしまった。

 何ていうんだっけ?

 知らなくても困らないけれど、気になる。