どうして戦争しちゃいけないの? | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 『どうして戦争しちゃいけないの?』ダニー・ネフセタイ著、あけび書房)という本を読んでいる。

 著者のダニー・ネフセタイ氏は、元イスラエル空軍の兵士で、現在は埼玉県で家具を製造販売する工房を営みながら、平和のための講演活動などをしている。

 イスラエルによるガザ侵攻の元当事者であり、その言葉にはジャーナリストや評論家にはない重みと説得力がある。

 

 本書の第1章「パレスチナとイスラエルに平和を」は、イスラエルパレスチナ侵攻の背景を詳しく説明してくれており、分かりやすい。

 背景が分かると、ことの複雑さが分かり、この戦争を終わらせることが簡単でないことを痛感する。

 

 第2章「戦争は最大の人権侵害」は、戦争がいかに愚かであるか、ということを具体的に説いている。

 日本にも大いに関係する話題である。

 

 日本F35戦闘機アメリカから大量に購入している。

 このF35が1時間飛行するのにかかるお金は、約604万円(1ドル=144円当時)だという。

 これは国民年金の平均の9年分である。

 F35の飛行訓練に使われる税金を福祉や教育に使えば、国民はもっと幸せになれるのに、と思わずにいられない。

 

 日本の2024年の防衛費は、7兆7000億円である。

 1日あたり約211億円、1時間あたり約8億円である。

 この防衛費で、戦争が防げるわけではないし、日本を守れるわけでもない。

 中国国防費日本約4倍、兵士の数は約8倍である。

 戦争になったらひとたまりもない。これでは抑止力にはならない。

 かといって、防衛費を増やせば中国も増やし、ますます戦争に近付くことになる。

 そんなことのために1時間に211億円税金を使っているのである。

 

 F35が1時間飛ぶためには5600ℓジェット燃料が必要である。

 1866台の車が1時間走ったときと同じくらいの排気ガスを出す。

 わたしたちが、環境のために自動車の利用を控えたりプラごみを減らしたりしていることがばからしくなる。

 軍隊税金を無駄にし、環境を破壊しているのである。

 

 このような身近で具体的な情報は、貴重である。

 年間防衛費7兆7000億円というより、1日211億円1時間8億円、というほうがはるかに実感として伝わってくる。

 政府は防衛予算を今後もどんどん増やしていくつもりである。

 戦闘機も外国と協力して作って売る予定である。

 選挙前に、防衛費戦闘機の実態について、有権者はきちんと知っておかなければならない。

 多くの人に読んでもらいたい本である。