自転車とヘルメット ――朝日歌壇から―― | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 日曜日は、朝日歌壇である。

 今週気になった歌はこれである。

 

「ママチャリにヘルメットって合わないね」それでもいいのかぶって通勤               (東京都 増田麻美)

 

 道路交通法の改正により、自転車に乗るときのヘルメット着用が努力義務となった。

 「努力義務」とは不思議な言葉である。

 ヘルメットを着用するのにどんな努力がいるのか。

 かぶるか、かぶらないか、どちらかである。

 努力はしたがかぶれない、ということがあるのだろうか。

 

 わたしは毎日自転車で通勤している。

 ヘルメットはかぶっていない。

 かぶろうという努力もしていない。道路交通法違反である。

 

 増田麻美さんのいう通り、ママチャリヘルメットは合わない。

 その上、わたしにヘルメットは似合わない。

 

 わたしはいつも、ジャケットを着て、中折帽をかぶっている。

 ジャケットにヘルメットは、絶対に合わない。

 ヘルメットをかぶるとしたら、何を着たらよいのか。

 流線型の自転車競技用のかっこいいヘルメットをかぶるならば、ピチッとしたウェアを着て競技用自転車にのるべきであろう。

 労働者の作業着や、警備員のユニフォームも、それにふさわしいヘルメットがある。

 どちらも、自宅から5分の教室で国語を教えている人間には合わない。

 

 事故や転倒の危険を考えたら、かぶったほうがいいのは確かである。

 背に腹は代えられない。似合うことはあきらめてかぶろうか。

 いや、いっそのこと自転車に乗るのをやめようか。

 

 増田麻美さんのように、それでもいいの、ときっぱりと言い切るだけの決断力が、わたしにはない。

 どうしたものか。