ことのは学舎の中学生の国語の授業で、大人とはどんな人か、というテーマの条件作文に取り組ませている。
二つの参考意見を読んで要約し、自分の意見を書く、というという課題である。
分量は15字×11行~13行、200字弱である。
参考意見の論旨は以下の通りである。
A 話し合いの場で人の意見を聞くことができて、客観的な意見を述べることができる人が大人だと感じた。
B 18歳になり、選挙権を持った人が大人だと感じた。
上の要約に続けて自分の考えを述べるのだが、なかなか難しい。
自分も同じ意見である、では自分の意見を述べたことにはならない。人の意見に乗っかっただけなので論外である。
上の二つの意見より後退している意見も、高い評価は得られない。
例えば、20歳からはお酒も飲めるしタバコも吸えるから大人である、など。
AとBの考えのさらに上に、自分の意見を加えなければならないのである。
まだ大人の入り口にさしかかったばかりの中学生にとって、大人は未知の領域である。
大人になって何年もたった大人のベテランでも、改めて大人とは? と聞かれると難しい。
参考意見Bのように、選挙権を手に入れる18歳からを大人とするという考え方は説得力がある。
選挙権を持つということは、国や自治体の政策決定に関与する力を持つのだから、大人としての責任を担うことになる。
しかし、18歳という年齢に十分な根拠があるか、と考えると、あやしくなってくる。
今日(9日)の朝日小学生新聞の天声こども語は、今春の統一地方選挙に立候補を認められなかった20歳前後の若者6人が、この制限は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして裁判を起こした、という話題であった。
投票権は18歳で与えられるが、立候補する権利は25歳または30歳にならないと与えられない。
なるほど、考えてみると18歳ではまだまだ知識も経験も乏しく、頼りない気もする。
一方で、グレタ・トゥンベリさんやマララさんのように、18歳未満のころから世界に向けて行動し大きな影響を与えている人もいる。
年齢で線を引くのは便宜に過ぎない。
こういう、正解のない問題をあれこれと考えて自分なりの意見を書くことは、子どもたちにとって非常に大切なことである。
与えられた選択肢の中から正解を探していては、考える力は身に付かない。
この難しい課題に、子どもたちがどんな意見を書いてくるか、楽しみである。
後日、このブログで紹介したいと考えている。