考える力・伝える力を育てる国語教室、ことのは学舎では、生徒たちは、ときどき科学読み物を読んでいます。
今日は、『なぜ?どうして?科学のお話4年生』(学研)の中の、「カンガルーにはどうしてふくろがあるの?」というお話を読みました。要約すると、次のような話です。
カンガルーの袋は、もともと乳首のまわりの皮のしわであった。乳首を吸う赤ちゃんがそのしわに足を掛けると落ちにくいため、しわが大きいカンガルーの子孫が多く繁殖した。そうしてしわが進化して袋状になった。
なるほど、そういうことだったのか。
小学生向けの読み物だけれど、大人のわたしにも勉強になります。
ゾウの鼻が長いことや、キリンの首が長いことと同様、進化論の土台である自然淘汰という考え方でうまく説明できます。
しかし、まだ謎が残っています。
この本には、次のような記述があります。
カンガルーがすむオーストラリアにいるほ乳類のほとんどは、有袋類です。カンガルーのほかにもフクロモモンガやタスマニアデビルなどさまざまな有袋類がいます。
なぜ、オーストラリアにだけ、有袋類が多いのでしょうか。
おなかに袋があり、赤ちゃんが落ちにくいことが、生存競争に有利であることは世界中どこでも共通のはずです。
他の大陸では、しわが袋状に進化することが有利に働かなかったのでしょうか。たまたま、しわが袋状に変異しなかったのでしょうか。
おなかの袋がオーストラリアの風土に適していたのでしょうか。
この謎の答えは、この本には書かれていません。
自分たちで考えるしかないようです。
子どもたちと一緒に、考えてみようと思います。
子どもたちが、世の中には答えのない問題がたくさんあるのだ、ということを知るのは、素敵なことです。
本にはすべて正しいことが書いてあると思ったら大間違いです。わかっていることをわかっている範囲で書いているに過ぎません。
その先を考えるのは、本を読むわたしたちの仕事です。
読めば読むほど、わからないことが増えていく。
読書とは、そういうものです。学問とは、そういうものです。
それにしても、なぜオーストラリアだけなんだろう?