カ行五段活用の動詞「歩く」に接続助詞「て」が接続した「歩きて」は、イ音便化して「歩いて」となるのが一般的です。
しかし、ときどき「歩って」と促音便化して使われているのを耳にすることがあります。
最初に気づいたのは、大学時代に栃木県出身の友達が使っていたときでした。
それ以来、人が「歩って」と言うのを意識するようになりました。
意識して聞いていると、「歩って」と言う人がちらほらいます。
気になるけれど、いちいち「ご出身はどちら?」と聞くのも変なので、そのままにしています。
話し言葉なので、いつ誰が使ったかも記録もしていません。
音便という現象は、この言葉はこうなりやすい、という傾向はあるものの、きちんとした法則はありません。
「買った」と「買うた」のように、関東で促音便の言葉が、関西ではウ音便になる、というのはよくあります。
「歩いて」と「歩って」のように、イ音便と促音便の共存は珍しいので、データを集めて考察してみたい、とちょっと思っております。
ということを考えたのは、「秘密のケンミンショー」というTV番組の5月19日の放送で、青森のおばあちゃんが「歩って」と言っているのが、字幕になっていたからなんですけど。
「歩って」が方言なのか、それとも時代による変遷で今後全国で使われるようになるのか、動向を見守りたいと思っております。
「買うて」はパソコンで変換できたのですが、「歩って」は変換の候補に出てきません。
現時点では一般的な用法と認識されていないようです。