「歩いて」と「歩って」 | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 カ行五段活用の動詞「歩く」に接続助詞「て」が接続した「歩きて」は、イ音便化して「歩いて」となるのが一般的です。

 しかし、ときどき「歩って」と促音便化して使われているのを耳にすることがあります。

 最初に気づいたのは、大学時代に栃木県出身の友達が使っていたときでした。

 それ以来、人が「歩って」と言うのを意識するようになりました。

 意識して聞いていると、「歩って」と言う人がちらほらいます。

 気になるけれど、いちいち「ご出身はどちら?」と聞くのも変なので、そのままにしています。

 話し言葉なので、いつ誰が使ったかも記録もしていません。

 音便という現象は、この言葉はこうなりやすい、という傾向はあるものの、きちんとした法則はありません。

 「買った」と「買うた」のように、関東で促音便の言葉が、関西ではウ音便になる、というのはよくあります。

 「歩いて」「歩って」のように、イ音便と促音便の共存は珍しいので、データを集めて考察してみたい、とちょっと思っております。

 ということを考えたのは、「秘密のケンミンショー」というTV番組の5月19日の放送で、青森のおばあちゃんが「歩って」と言っているのが、字幕になっていたからなんですけど。

 「歩って」が方言なのか、それとも時代による変遷で今後全国で使われるようになるのか、動向を見守りたいと思っております。

 

 「買うて」はパソコンで変換できたのですが、「歩って」は変換の候補に出てきません。

 現時点では一般的な用法と認識されていないようです。