泣きたくなる。。。~後編~ | 始まらないstory

泣きたくなる。。。~後編~

「どうしたの??なんか今日静かだねー」

と思い切って、彼に聞いてみた。。

「実は、ちょっと体調がヤバくて。。。」

「え???」

固まってしまった。。

そうか~そのせいだったのか~。
言われれば顔色もなんか悪い。。

「熱は??大丈夫?」

と聞くと彼はすこし笑顔で言った。。

「熱はないけど、映画だけしか出来ないかも。。」

前日の話でこんな話をkotoはしていた。。

『ねー。映画終わったらすこし時間があるから水族館行かない??』

きっと。そのことを彼は気にしていたみたい。。

「そんなのは全然いいよっ。っていうかなんで言ってくれなかったの?言ってくれれば今日別に平気だったのに。。。」

kotoの精一杯の気持ちだった。

彼には会いたい。。。
けども、体調が悪い彼にまで会いたいとは思わない。。

会いたいけど。。。

でも、彼の体調の方がもっと大切。

彼はきっと気を使って頑張ってきたのだと思うと苦しくなった。。

「言ってくれればよかったのにー。なんで言ってくれなかったの?」

kotoは自然と怒りながら彼に言ってしまった。
本音だった。。

彼が言えない程kotoには気を使っている事。
それが、つい悲しくて本音が出てしまった。

思えば、成長したな。。
きっと、彼の前では感情は出せなかったはずなのに。。

「ごめんね。でも言えないっすよー」

と彼は言った。

また悲しみと悔しさが襲ってきた。。

とりあえず、映画を見に行った。
彼が見たいと思っていた伊藤英明の映画を。。
飲み物と買って彼に渡した。
彼は映画のチケットを先に買っといてくれたから、お礼のつもりで。。
席に着くと、沈黙が続いた。。

なんか、遠慮してしまって話せない。
なんて話していいのか分からない。。
それに、彼の体調が気になって、頭が混乱している。

しばらく黙っていると予告が始まった。。

映画を見終わると。。
なんと、彼は少し元気になっていた。

「面白かったねー」

と彼から言ってきた。
ちょっとテンションが上がったみたい。
よかった♪
kotoは少しだけ不安から解放された。

そのあとkotoがトイレから出てくると彼が映画のスケジュールを見ている。

ちょっと機嫌が直ったkotoは仲直りのしるしに後ろから大胆に彼の左の腕に腕を通した。

彼がビックリしていた。。

すぐやめてしまったけど、彼の腕は暖かかった。。。

そのあとスケジュールを見ながら彼が

「もう一本見ない?」

と提案してきた。

「体調平気なのー?」

というと、「大丈夫。映画なら平気だから。。」

と笑顔で言った。。

「今度はkotoちゃんの好きな映画でいいよ」

と言われたので、思い切って『私の頭の中の消しゴム』をリクエストしてしまった。

今度はkotoが代わりにチケットを買い、お昼ご飯を食べに行った。

個室の中華料理屋さん。ちょっとオシャレな雰囲気だった。
色んな話が出来た。
彼はよく友達に『腹黒い』と言われるらしい。。
実家が中華料理屋さんで。。。とか
彼は一人っ子で、すごく家族を大切にしている人だった。
確かに、何を考えているか分からない時もあるけど、根は優しい人なんだろうと思った。

でも、子供っぽい性格はそのまま。。
わがままで自分の興味がないもは顔に出るタイプ。
性格に波があるタイプ。。
とても、楽しいひとときだった。。

また、映画を見に行って映画館を出ていたら辺りは真っ暗になっていた。

普段、こんな時間に外を歩いてないkotoは新鮮だった。
ちょっとだけテンションが上がるけど、彼はテンションが下がって行った。。

顔に出てきたからすぐに分かった。。
映画を見終わって楽しい事がないのと、体調が悪いのと、きっとkotoと一緒ってことも。。

今日はなんだか、悲しい。。。

「体調また悪くなってきたでしょー。いいよー。もう帰っても。。。」

と切り札を出したkoto。

別れたくないけど、もう限界だった。
これ以上近くにいたらkotoも泣きそうだった。。

「いいっすかー。ごめんね。。。」

彼はすぐ答えた。。
即答が余計に悲しさを倍増させた。。

別れた後、電車の中で涙が落ちた。。。
この涙は彼が体調が悪いのを心配してではなかった。。
体調が悪くても、テンションが上がればなんとでもなるのに。。

kotoではならなかったこと。。

それだけ、彼はkotoには何も思っていないこと。。

今日改めて確信した。。

やっぱし、辛いよ。。。片思いは。。

涙が止まらない。。

いっそ。彼を嫌いになれたらいいのに。。

でも、それでもまだ彼が好きだった。。
好きな分だけ、涙があふれてきて駅のホームでしばらくうつむいていた。。

kotoってなんだろう。。