高校生からいただいた質問

 

先日の講演では、たくさんの気づきを高校生からいただきました。

 

その時のブログはこちら

大学選びで人生は決まらない。私が母校の高校生に伝えたかったこと。

 

 

この講演の中でいただいた質問の中で、

一番「今の高校生すごいな……」と感じたのがこの質問。

 

 

「『差別』と『区別』の違いについて悩んでいます。どうやって考えたらいいですか?」

 

 

私が高校生の時、こんなこと考えていたかなぁ……。

多様性のある社会で、色んな個性や障害を持っている人が目に入りやすくなったからこそ、

こうした疑問が生まれるのかもしれませんね。

 

 

今日は私がどうやって回答したのか書いていこうと思うのですが、

これに関しては、それぞれの意見があると思いますので、

私の意見に必ずしも賛同できない方もいると思います。

 

 

あくまで考え方の一つですので、その点をご了承いただいた上でお読みください。

 

 

 

 

思うだけなら『区別』、口に出したら『差別』

 

私が考えるのは、

 

「心の中で思うだけなら『区別』、口や態度に出したら『差別』」

 

 

ということ。

 

 

これは、以前テレビ番組で言っていた考え方なのですが、

私はこれがとってもしっくり来たので、こういう風に考えています。

(どなたの言葉だったか探してみましたが見つからず……)

 

 

例えば、自分が目が悪くないとして、

メガネをかけている人に対して、

 

「あ、メガネをかけているな、目が悪いんだな」

 

と心の中で思うのは区別。

 

「お前これが無いと何にもできないんだろ!」

 

と、メガネを取り上げるのは、差別です。

 

 

 

口に出さなくても、

あからさまにじろじろ見たりとか、にらんだりとか、

態度に出ていても、私は差別だと思っています。

 

 

心の中で「あいつメガネかけてんのマジキモい」と思っていたとしても、

態度に表れなければ差別ではないのか、といわれると難しいところですが、

 

それぐらい黒い気持ちを持っていたら、何かしらの形で表に出てくると思うので、

 

 

私が考える区別は、「ただ、『違うんだな』と思うこと」です。

 

 

 

思ってしまうのは仕方ないと思う

 

私が高校生に伝えたのは、「思ってしまうのは仕方がない」ということでした。

 

私には、難聴の娘きいろちゃんがいますが、

一緒に電車に乗りながら手話を使っていると、

周囲からの視線を感じます。

 

 

ちらっと見たり、そーっと横目で見ていたり、

私は特にそういう視線に敏感なので、割と気がついていますが、

あえて気がつかないふりをして、手話をバンバン使います。

 

 

こっそりでも、手話を使う世界を見て欲しいな、と思っているからです。

 

 

 

 

 

 

障害のある方はこの視線に常にさらされていて、

それが辛い、という方もいます。

 

 

でも、私も見ちゃう時あるんですよね。

 

 

その時思っているのは、

 

「何かお手伝いできることあるかな」

「これからどこに行くのかな」

「なるほど、そうやってやるんだな」

 

とか、そういうことだったりします。

 

 

「自分とは違う」ということを認識した上で、

その人の生活に興味があったり、自分にできることを探したり。

 

 

だからきっと手話を見る人達も、

 

手話が物珍しかったり、

子どもがどうやって手話をするのか見たかったり、

単純に何を話しているのか知りたかったり、

 

きっとそうなんだろうなと思っています。

 

 

 

ちなみに私も、街で手話を使っている人に遭遇すると、

読み取ろうと思ってじっと見てしまいますよ(笑)

 

 

 

 

 

罪悪感を持たなくて良い

 

「つい見ちゃった……差別してるのかも」

 

と思う気持ち、とてもよく分かります。

 

 

でも、心の中で「違うんだな」と思っただけなら、大丈夫。

 

自分と違ったら、100%無視なんてなかなかできません。

人間も動物なので、違いには敏感なのです。

 

 

大事なのは、思った後。

 

 

「うわ、キモ」

 

と、思うのか、

 

「こんな世界があるんだな」

 

と、思うのか、

 

「私にできることはなんだろう」

 

と、思うのか。

 

 

 

そもそも助けてあげたいという精神そのものが差別なんじゃないかとか、

健常者が偉いという考えが自分の中にあるんじゃないかとか、

 

考え出すとキリがありません。

 

 

きっと答えはシンプルで、

 

目の前の人に、あなたがどう接するか。

 

 

 

 

 

 

私は、「ありがとう」の手話だけ使ってくれた店員さんにとても好意を持ちますし、

手話が間違っていても、やろうとしてくれた姿勢が嬉しいですし、

「お耳につけてるのなに?」と子ども達に聞かれることだって、興味を持ってくれて嬉しいと思います。

 

 

 

健常者同士のコミュニケーションと同じで、

目の前の人に対して、あなたのベストを尽くせばいいと、私は考えています。

 

 

 

多様性の世の中だからこそ悩んでしまう方へ、

少しでも参考になったら嬉しいです。

 

 

 

 

まとめ
 
★思うだけなら「区別」、口や態度に出したら「差別」
 
★思ってしまうのは仕方が無い
 
★大切なのは、目の前の人にどうやって接するか
 
 
 
 
 
この記事を書いた人手話ができるパソコン講師
大久保 琴(おおくぼ こと)