博多っ子純情/九月の空 | シネマ係長の秘密基地

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博多っ子純情

1978年12月2日(土)公開

時には子供扱いされ、時には大人としての白覚を求められる年頃である男子中学生達の生活を、目ざめはじめた性、今だ知らぬ女性の神秘への興味などを中心に描く。

あらすじ晴れ
九州博多の夏は祇園山笠ではじまる。迫山の日、六平は足を怪我した父に変って、生まれて初めて山笠をかついだ。途中、山笠の早さについて行けず、転んだところを隣に住む憧れの青葉さんに助けられるというサエない場面もあったが、とにかく山笠を担いで男になるという博多っ子の伝統を六平も守ったわけだ。六平、十五歳の夏である。六平は級友、阿佐道雄、黒木真澄と集まっては、女性の秘部について話し合っていた。ある夜、中洲のバーで飲んでいる父に、忘れた財布を届けた六平は、そこで父から初めて酒を飲まされる。その帰り道、同じクラスの小柳類子と会った。類子に手を握られてオドオドしながら歩いている六平に、高校生たちが絡んできた。類子の手前、お土産に買った西瓜を振り回して立ち向かっていると、先輩の穴見が通りかかり、六平を助けた。しかし、穴見にビッタリと寄りそっている青葉を見て、六平はガッカリである。数日後、類子と母が西瓜を持って六平の家に来た。その事については誰にも話さなかった六平は、暫くして類子を呼び出し、口 論となり、とうとう彼女は泣きだすのだった。謝る六平に類子はキスして欲しいと言い、六平は彼女の頬にキスをするのだった。六平の毎日は、床屋の娘に迫られたり、道雄の母の美しさに憧れ、青葉の弾くピアノの音に酔い、ポルノ映画に行って断わられたりといった悶々とした日々の連続である。しかし、そんな六平にも毅然とした男らしさがあり、番長の無法松でさえ一目置いていた。ある日、六平は持ち前の正義感から、万引をしている五中の生徒を咎めたことが原因で、後日袋叩きに合った。それを知って激怒した道雄と真澄は五中の生徒達に決闘状を叩きつけた。定刻、福岡城跡に行くと、何と六、七十人がチェーン、木刀を持って押し寄せて来た。更に驚いたことに、無法松が多勢の仲間を連れて助けに来た。類子が無法松に応援を頼んだのである。対峙する五中と無法松の仲間……。無法松の「ヤレ!」の合図で、福岡城跡は修羅場と化した。これは死人が出ると驚いた六平は、持って来たモデルガンをぶっ放すや、素頓狂な声で歌い出した。“祝い目出たのォ若松さまよォ…博多ではこの歌が出ると、何事も終らなければならないという風習がある。失禁しながら歌う六平。五中の番長が無法松に、「お前、いい後輩を持ってるな!みんな一緒に歌え!」。二つに分れて歌いながら全員帰っていく。一人ポツンと残っている六平に無法松が、あそこにいる女が教えてくれたんだと指さした。そこには、類子が心配そうに、六平を見つめている姿があった……。

原作:長谷川法世 
監督:曽根中生 
音楽:服部克久 
脚本:石森史郎、長谷川法世 
【CAST】 
光石研、小屋町英浩、横山司、松本ちえこ、小池朝雄、春川ますみ、伊佐山ひろ子、佐藤蛾次郎、なぎらけんいち、岡本麗、桂歌丸、宮下順子、
上月左知子、田崎潤、本間進、長谷川法世、桂米丸、園佳也子、児島美ゆき、渡辺とく子、野崎英則、陶隆司、春江ふかみ、竜虎、小畠絹子、立花美英、赤木艮次

九月の空

スポーツの爽快さを好んで剣道にはげむ高校生勇の、性への憧れや怖れ、孤立感を抱きながら、剣道、友情、家庭、そして未知のできごとを通じて成長していく姿を描く。

あらすじもみじ
小林勇は高校に入学すると剣道部に入った。理由は、対峙した時の緊張感が好きだったからである。十五歳の勇にはOLの姉、保険外交員の母とお金にまったく無頓着の絵描きの父がいた。苦しい家計を助けるために牛乳配達などをする勇は父の生き方に批判的であるが、母の父を許す姿に、なんとなく納得している。そんな勇も、弟という気安さから見せる姉の下着姿に戸惑いを感じるのだった。ある日、同じクラスの秋間の発案で勇は痴漢退治に行った。盛装して見違える程美しくなった級友の小夜子を囮にして、現われた痴漢をメッタ打ちにした。翌朝、勇は幼稚園で同級だった片桐清美に会った。彼女とは六年ぶりの再会だが、見紛うほど成長していた。数日後、清美とデートをした勇は、彼女からラプホテルに誘われ、避妊具まで用意してきた清美に、勇はほうほうの態で逃げ帰った。小夜子が剣道部に入った。部室で、道着の着け方を教えているうち、勇は思わず小夜子の唇を奪った。宿敵、明倫高校との試合があった時、勇は一年生ながら先鋒に起用され、調子良く五人勝ち抜き、強敵、やはり同じ一年生の石渡と対峙した。その日の夕方、小夜子は勇に言った。「小林君はずるい人だと思っていた。だから私もずるい人間になろうと思った。しかし、試合中の小林君の姿を見て、そんな人じゃないと判ったから、剣道部を辞めようと思うの」。言っていることがよく理解出来なかったが、小夜子の繊細な感情が勇に伝わり二人はいっぺんに打ちとけた。本心をぶつけ合う二人はしあわせそうたった……。

監督:山根成之
原作:高橋三千網
脚本:中岡京平
製作:樋口清
制作補:池田義徳
撮影:坂本典隆
【キャスト】
坂東正之助、石野真子、長門裕之、野際陽子、風吹ジュン、古尾谷康雅、粟津號、山岡建、宮崎達也、深見博、佐久田修、林田昭彦、榎谷誠、オリーブ・細井、根岸とし江、セントルイス、曽我町子