妖精フローレンス
1985年10月26日(土)公開
あらすじ
マイケルは音楽学院に通う学生。ある日彼は、いつも花を可愛がっているお礼にとベゴニアの花の妖精フローレンスに、花の妖精の国に案内されることになった。マイケルは自分の体がどんどん小さくなっていくのを感じた。彼の右手には、オールマイティの力を持つセンパの捧が握られていた。いたずら妖精ムジカの仕業でフローレンスと離れ離れになったマイケルは、ムジカランドに着陸してしまう。ムジカはセンパの榛を狙っていたのだ。マイケルの健闘も空しく、センパの棒はムジカの手に。センパの棒を手に入れたムジカはハシャギ過ぎ、ムジカランドはその影響で大火事になり、氷河期が来る。ムジカ自身も氷に閉じ込められてしまった。ムジカを助け、センパの捧を返してもらったマイケルは、フローレンスの待つ花の国へ向かった。再会した二人は深い愛に結ばれた。やがて花の季節の終りがやって来た。突然巨大なイラ草が現われた。イラ草は轟音と共に裂け、無数の昆虫が飛び出し編隊を組んで妖精たちを襲う。花の兵士たちと虫たちの凄絶な戦いが展開され、花の兵士たちの勝利に終る。そこに最強の悪魔ムランダが登場。マイケルはフローレンスを助けるためにセンパの棒をふりかざし、ムランダの唯一の弱点である大きな口の中へ突撃した。命を的にして花の国とフローレンスを救ったマイケルは、元の人間の大きさになって、音楽学院の温室の中にほうり出された。そしてフローレンスが現われ、彼の目にキスをした。マイケルに抱かれたフローレンスの体は、なぜかだんだんと透明になっていく。フローレンスは、「太陽が出ると私の体は朝露となってしまう。でもあなたに抱かれて幸せ、私の体は消えても愛はあなたの中にあるわ」と消えていった。音楽学院オーケストラ発表会の日。コンサートホール満員の観客の前で、マイケルはオーボエコンチェルトを演奏した。そして心の中に呼びかけた。「フローレンス、僕やったよ、きみと一緒に」と。
製作・原作: 辻信太郎
監督: 波多正美
音楽: 山本直純
声の出演: 市村正規/毬谷友子/中島みゆき/小林亜星
監督: 波多正美
音楽: 山本直純
声の出演: 市村正規/毬谷友子/中島みゆき/小林亜星
想い出を売る店
あらすじ
北フランスのノルマンディー地方の小さな村。北海に落ち込む断崖絶壁の上の草原に、小さな教会と世界中でたった一軒の「想い出を売る店」があった。店の主人のジョゼフ爺さんは、不思議な薄紫色の液体を調合する。それを長いガラスのストローでそっと吹いてシャボン玉のような風船を作り、ローソクの光にかざすと人々の心の中にある想い出が映し出されるのだ。想い出だけを心の支えに淋しく暮す人々が、この店の常連だった。ある嵐の夜、トムという青年が店にやって来た。彼は想い出なんかいらないと強がるが、心の中に恋人マリーとの悲しい愛の傷あとを持っていた。牧童だったトムは、一流のガラス細工師になるため、マリーをひとり残し、六年前にベニスへ修業に出た。ベニスで着実に腕を磨きながらも、友人の裏切りに遭った彼は、ズタズタの心を抱いてこの村に帰って来たのだ。トムの心はマリーへの想いでいっぱいだったが「彼女の心はもう離れてしまったかもしれない、結婚しているかも……」と会いにいけないでいる。マリーにとっての6年間も苦しいものだった。彼女もまたこの店のお客で、失明しかかりながら、一途にトムの愛を信じ待ち続けた。絶望的になるマリーを心身ともに助けてきたジョゼフ爺さんは、トムに言う。「勇気を出してマリーの家に行ってごらん」二人は再会し、マリーはトムの胸の中に飛び込んでいく。二人が結ばれて、想い出を売る店は店じまいをしてしまったのか、今はもう世界中を探しても見つからなくなってしまった。
監督:近藤明男
原作:辻信太郎
キャスト:イングリッド・エルド、フィリップ・キャロワ、ジャン・フランバール、パトリシア・トゥッサン、ディディエー・ヘルサン、ステファン・フリース、ハイメ・サンチャゴ・クロス、ティエリー・フック、リチャード・クレイダーマン