当社では10年ほど前から「高視認性」という考えを導入して現場の安全対策の取り組みを実践している。
開始当時に発見し、紹介したことのある当社の好事例を再度記載したい。
現場での「色」の工夫のヒントになれば幸いである。
「高視認」という言葉は、「視認性が高い」ということである。簡単に言えば「目につきやすい」ということになる。
危険個所や開口部、段差等を目につきやすくすれば事故を回避する確率は高まるのだ。
(取り組み事例)
http://ameblo.jp/kotobuki5430511/entry-12154692384.html
http://ameblo.jp/kotobuki5430511/entry-12182636437.html
一般的な条件で特に目につきやすい色は「蛍光黄色」で、社内でも使用頻度は高い。
ある時、補修工事を施工中の高速道路トンネルに入って気が付いたのだが、強いオレンジ色照明のトンネル内では、普段は目立つ「蛍光黄色」が目立たなくなるのである。つまり視認性が低下するのだ。
実例をお見せしよう。
下の写真、太陽の光の下では蛍光黄色はとても目につく。
左から2番目の方の全身蛍光黄色は特に目につくことが分かると思う。走行する運転者に作業者がそこにいることをはっきり認識させるはずだ。

ところが、作業するトンネル内で、オレンジ照明の中に入ると高視認色が全部吸収されてしまう。
↓↓これが同じ全身蛍光黄色の方
見ていて「なるほどなあ」と思った。
以下写真の左右の方は白いヘルメット、真ん中の方は黄色いヘルメットなのだが、どちらも同じ色に見える。
この写真、黄色い回転灯、赤のランプも目につきにくいではないか。
以下はさらに分かりやすい。フラッシュを焚いてオレンジの光を飛ばした写真と、
同じ場所でフラッシュを焚かなかった写真。

いつもは目立つ高所作業者バケットの「人がのってます」赤い字が目立たなくなってしまう。
要するに、目につきやすい色、というのは置かれている状況(周囲の色、暗さなど)によって違ってくるのだ。
色については、目につきやすくするためのヒントがある。
この色の輪、色彩学で「色相環」と呼ばれている。
この輪の中で、ある色に対し隣あったりして近い位置にあるのは「同系色」と呼ぶ。
色が調和するので、イメージがまとまって感じよい色合いになる。
逆に輪の正反対の位置にある色は「反対色」と呼ばれ、色を目立たすにはこの反対色を使うといいと言われる。
この輪を見るとオレンジの反対は青っぽい色である。
この発想を取り入れ、この現場は「青い」光による「高視認」に転換した。
ちょっとしたことだが、こういう工夫で注意喚起の効果を高めることが災害防止の礎になっているのだ。







