起床前の布団の中、まだ目覚める前に頭の中でいろんなイメージや言葉が浮かんでは消えることがよくある。
過日、その中で「恩返し」という言葉が浮かんで、なんだか久しぶりに聞く言葉だと思ったら目が覚めてしまった。
子供の頃に「鶴の恩返し」という話で覚えたであろうこの言葉、ずっと人生観の中に刷り込まれているであろう。
特に私の親族にはこの考えが根強くあったようで、何かをいただくと必ず返すという習慣が当たり前のようにあったと思う。
一方、アメリカ映画のタイトルとして有名になった「ペイ・フォワード」という言葉があり、日本語だと「恩送り」となる。
人から受けた恩を、その方に対してではなく他のどなたに送ることである。
相互間で恩のやりとりをするよりも、送ることで社会に広がっていくであろう。
いずれにせよ、恩を受けたらどこかに返したり送っていくといくべき、という考え方であるが(反対の意味で「恩を仇で返す」という言葉もある)、最近はどうなのであろうと思った。
恩という言葉すらあまり見聞きしないように思う。
義理とか人情とか恩とか、あまり関係ないドライな社会になっているような気がしてならない。
恩という言葉に当たるようなことをされても、返そうとか送ろうという発想が以前に比べ大きく欠如されているように感じるのだ。
私自身も、以前に比べると同様な感覚になっているように思う。
LINEの「既読スルー」ではないが、「恩スルー」状態になっているのではなかろうか。
時代の流れとともに考えや感覚が変わっていくのは仕方ないことだが、昭和のおじさんとしては「恩」を感じて「恩」を返し送るような世の中のほうがいいな、と思ってしまうのである。
