先週、岐阜県高山市で山崎エリナさんと対談をさせていただいたのだが、
私らの前の講演が岐阜大学工学部特任教授の八嶋厚先生の「斜⾯防災を⼀緒に考える〜「結び」と「解き」を念頭に〜」という題の話で、こちらは本当に素晴らしかった。
技術的な話だけでなく、土木という仕事の考え方とか思想の部分に特に感銘を受けた。
話の中で、
土木とは、次の世代に現在の快適な生活環境を約束している技術。
私たちは、ゆずり葉のように、次の世代に素晴らしい社会を引き継がなければなりません。
無償の愛と知をもって
という力強い言葉とともに、河井醉茗(かわいすいめい)という方の「ゆずり葉」という詩を紹介された。
本気でこのような気持ちを持って仕事をしなければならないと強く共感したので、以下に紹介したい。
この写真が、ゆずり葉。
ゆずり葉
子供たちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入り代わって古い葉が落ちてしまうのです。
こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずって――。
子供たちよ
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません。
かがやける大都会も
そっくりお前たちがゆずり受けるのです。
読みきれないほどの書物も
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど――。
世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを、
一生懸命に造っています。
今、お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に
気が付いてきます。
そしたら子供たちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見るときが来るでしょう。