百日紅の下で | 寿建設 社長ブログ

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2週間ほど前に撮影した、百日紅(サルスベリ)の花。

その名にある「紅」という色の感じはしないが、鮮やかな色である。

百日紅はツルツルした木の肌も特徴で、木登りが得意な猿でさえ滑ってしまうことから「サルスベリ」と呼ぶという。漢字と読みのギャップ感が甚だしいと思う。

 

私が「百日紅」という字を覚えたのは高校生の頃。

当時夢中になって読んでいた横溝正史先生の探偵小説の、短編のタイトル「百日紅の下で」である。

この短編は、ほぼ全作読んだ横溝作品の中でも特に好きな作品だ。初めて読み終えた時は、衝撃のようなものを感じたのをよく覚えている。

 

終戦間もない頃、がれきの中に一本だけ焼け残った百日紅の木の下、2人の会話だけで成り立っている物語、というのがまず印象的だった。

1人は戦争帰りの男で、戦地で出会った友人から以前起こった殺人事件について詳しい話を聞き、その事件に関わりのあった戦友の友人であったという男を訪ねて、彼との話の中で疑問事項を二転三転させながらも事件の真相を解くという内容なのだ。

謎解きの面白さもさることながら、その設定が私には特に新鮮だった。

 

よほど気に入ったのであろう、その頃は特に創作意欲に溢れていた私はこの小説を脚本化してラジオドラマか映画に出来ないかと思いつき、授業中に何度も執筆にチャレンジしていたのを思い出す。

結局は未完に終わったのだが…。

 

大がかりなトリックや派手めな内容が多い横溝作品は膨大と言っていいほど映像化されているが、それほど有名ではないこの作品が漫画化、2度の舞台化、そして2016年にはNHK BSプレミアムでドラマ化されている(ネット情報で知っただけで見てはいない)というので、私の思いつきは決して的外れではなかったと思った。

短編「百日紅の下で」を文庫本で読みたい場合は、以下から。

https://www.kadokawa.co.jp/product/200604000196/