人間は同じ動作や作業を繰り返し習慣化すると、ちょっとしたことで「エラー」を起こしやすい。
このことを私は社内の安全教育としてずっと訴えている。
昔流行した「10回クイズ」というのが典型的事例。
「『ピザ』と10回言ってください」
「ピザ、ピザ、ピザ……」
「(腕を折り曲げて指で示しながら、)それではここをなんと言うでしょう?」
「ヒザ?」
「残念、肘(ひじ)です」というやつだ。
工事現場も毎日同じサイクルの仕事が少なくなく、流れが出来てリズムよくこのサイクルに乗ることは、生産性も上がり、安全性も高くなり、現場でもっとも重要なことだ。
しかし、きちんと習慣化出来た時は、ちょっと変化が発生した時には思わぬエラーが起きやすい。実際に当社でも急遽メンバーが変わったり、その日だけ作業方法が変わったというタイミグで事故が発生した経験がある。
なので「変化」が起きた時は必ずいったん作業を止めて手順を確認するなど、注意するように口すっぱく指導している。
昨年の2月、毎年恒例の某金融機関の新年会があった。コロナ禍以前の集会である。
もう10年来同じホテルが会場だったので当然のごとくそのホテルに行ってみると、誰もいないのである。慌てて主催者に確認したところ50周年の記念のお祝いということで会場が変わっていたのだ。
急いで移動しギリギリ間に合ったのだが、その後も同様に遅刻者が多数いてみなさん「会場間違えた」とおっしゃっていた。
典型的な「繰り返しのエラー」である。
この新年会はこのホテル、という思い込みから、変化に気づかずエラーが発生するのだ。
逆にいえば、今回のように長年の慣例が変わる場合は案内で目立つように「場所はいつもと違います」と注意喚起すべきであろう。
自分のミスを相手のせいにするようだが、あくまで対策ということで参考まで。
ヒューマンエラーの対策というのはかように難しいのだ。