ドボキングその1~二本松城 | 寿建設 社長ブログ

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先日思い付きで書いた、土木構造物を歩いて回る「土木」+「ハイキング」=「ドボキング」、

https://ameblo.jp/kotobuki5430511/entry-12671979965.html

悪くないなと思って今後やってみることにした。働き方改革で休日数も増え、52歳にもなって健康のために歩く理由にもなる。長引くコロナ禍で出来ることも限られているが、人がいそうもない土木施設見学には飛沫感染リスクはないだろう。

すでに同義語で「インフラツーリズム」という言葉はあるのだが、「みうらじゅん」的センスでやってみたい。

 

最初にどこに行こうかと考えていた時、オンラインで話をした城マニアにして土木マニアでもある女性から「二本松城はすごくいいですよ」と教わった。

福島市の南隣である二本松市にある、地元では「霞ヶ城」と呼ばれているお城のことだ。考えてみると地元民なのに一度も行ったことがない。近くなので早速足を運んでみた。

現地に設置された地図を見て驚いたのだが、想像を遥かに超える広範囲。山全体で城を形成しているのだ。

「ドボキング」にはもって来いである。

 

見どころは圧巻の「石垣」である。同行した妻から「石でも土木なの?」と、字面的には実に正しい質問をされた。確かにそう思われるかもしれない。

 

二本松城には天守閣がないのだが、逆に石垣の見事さが際立って見える。

見るからに突出した技術を感じ、しかも美しい。

 

途中にあった説明文に「穴太(あのう)積み」という言葉を発見。「やっぱり!」と思った。

復刻を手伝わせていただいた「土木のこころ」に登場する「穴太衆(あのうたしゅう)」と呼ばれる石積み職人の技術である。

積み方の特徴が似ていたので、そうかなと思っていたのだ。

 

以下、「土木のこころ」から転載する。

 

穴太の石積みは本来、野面積みといわれるもので、加工を施さない自然石を用いる。大きさや形状の異なる石を巧みに組み合わせ、がっちりと積み上げられている。上下の石は表面が合わさる(端持という)のではなく、石面から一○センチばかり奥に入ったところ(二番という)で合わせてある。この組み方は石垣としてもっとも安定した構造となる。隙間には大量の栗石(ぐりいし・一五〜二〇センチの川石、現在は採れないので割石を使っている)を詰める。

栗石は水抜きや土圧を吸収する働きをし、これが少ないと土圧や水圧で石垣が崩壊する恐れがある。外観の美しさよりも堅固さに重点を置いたものといえる。厳密にいえば一○○パーセント野面積みをしているのは安土城だけで、その後に築城されたものは角石(すみいし)だけ加工したものを用いたり、築城年代によって多少の技術改革が見られる。しかし石面(表面)より控(奥行き)の方が二〜三倍長いといった石の配置は不変である。

 

「外観の美しさよりも堅固さに重点を置いたもの」とはあるが、なになに十二分に美しい。

そして確かに「角石」部分は加工がされている。

現在の土木技術も「地域を守る」という大きな目的があると思うが、城というのはまさに「敵から地域を守る」インフラだったといえよう。

そこに「石を積む」という技術が大規模に活用されているのだ。

今まで「城」にはあまり興味がなかったが、土木という視点で入ると俄然興味が沸いて来るのだから面白いものだ。

第一回目のドボキング、「土木のこころ」にもつながり、成果大であった。

 

調べてみたら、桜の時期に城全景をドローンで撮った動画があり、俯瞰しての美しさに感激。

ぜひご覧下さい。