2012年、世に出た時から存在は知っていたし、読まなければならないことも十分知っていながら手に出来なかったのは何か精神的な理由があったのだと自覚はしていた。
「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」という映画が間もなく公開されるにあたり、ついにその本を買って読んだ。
私は本や小説が映画化された場合、先に本で読みたい性格である。映画も観ねばと思ったのでようやくページを開いた。
「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(門田隆将)
死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発 (角川文庫)
924円
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読んですぐに当時の福島の空気が蘇った。
原発近辺の凄まじい状況を初めて順序だてて読んだのだが、平行してわずか数十キロ離れた当時のわれわれの行動も思い出さずにはいられなかった。
さらに途中で10年来の友人が登場したので(知らなかった!)話がぐっと体に入ってきたのである。
すごかった。
とにかくすごかった。
命がけの現場の状況が頭の中でイメージ出来たし、最後はいろんな思いが交錯して涙が止まらなくなった。
やはりこの事実は、ちゃんと知らなければいけなかった。
9年後だが、決して遅くなかった。
福島を変えることになった、まさに本丸の現場状況を知り、改めてよくぞここまで踏ん張ったと現場の方々への感謝の気持ちも持った。
もうちょっと判断や行動が異なっていたら、今われわれは福島県にいれなかったかもしれない。
もちろん私たちもそれなりの体験をした。
昼も夜もなかった。家族や自宅より、対応を優先した。
もちろん過酷さや危険度は異なるが、現場で必死に対応した同志だと思う。
まもなくあの日から9年。
特に福島県の方は「今さら」と思わず読むべきと思う本である。
いや、時間を経た今だからこそ読んで理解すべきなのかもしれない。
この本を読んでから映画の予告を観ると、それだけでドキドキして涙が出てしまう。