101歳。ひとり暮らしの心得 | 寿建設 社長ブログ

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エピソードや思うことを綴ります。

読書の傾向が偏りやすいので、同じような本(小説が多い)が続くと違うジャンルを挟むように心がけている。

そういう気持ちで自宅の本棚を探して手に取ったのがこちら。

 

101歳。ひとり暮らしの心得(吉沢久子/中公文庫)

 

私自身では絶対買わない種類の本である。

なぜ妻がこのような本を買ったのか疑念を持ったが、本の中の挿画を知人が担当したらしい。

 

昨年3月に101歳で逝去された著者が、2015年と2018年に出版した2冊の本を加筆、再編集した本であるという。

タイトルの通り、ご高齢にもかかわらずひとり暮らしをされていた吉沢久子さんの、「毎日の生活より心得た暮らしの秘訣」(帯文より)のエッセイである。

 

冒頭で紹介されるのが、著者が30代の頃に知人の結婚式の祝辞で聞いた「望みは小さく持ったほうがいい」という言葉。

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大きな望みを持つと、もしかしたら途中で挫折し、敗北感に打ちのめされるかもしれません。しかし、自分の足で確実に登ることができる山なら、頂上に辿りついたときの達成感も得られるし、この経験をもとに次はもう少し高い山にチャレンジしてみようと、新たな計画を立てられます。それからはやみくもに大きな望みを抱かず、身の丈にあった目標を立て、一つひとつ丁寧に取り組むようにしました。

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私もどちらかというと近い考え方なので、すんなりと言葉が入って来る。

以後決して無茶をせず、欲張らず、それでいて前向きに考えている吉沢さんの言葉はいちいち身に沁みる。

 

・若い頃から「人間は結局、ひとりで生きていかなくてはいけない」という一種の覚悟を持って生きてきたことが、高齢になっても元気でいられる理由かもしれません。

 

・どうせなら、最後のときまで幸せに生きたいもの。そのためには「老い」という未知な領域への好奇心を働かせ、自分の老いさえも面白がる気持ちでいたほうが、日々楽しいと思うのです。

 

・夫が晩年よく口にしていたのは、「歳をとったら若者に付き合ってもらわないと若い人の気持ちがわからない。しかし、若い者から見れば、特別な魅力がないと好んで老人とは付き合わないだろう。できる範囲でスポンサーになって、若い人から教えてもらおうという気持ちが大事なんだ」ということです。

 

・自分たちの家庭の生活文化ともいえる暮らし方は、思いつきやマネだけでは簡単に変えられないということでした。「もったいない」も「捨てる」もブームに流されることなく、自分の暮らしの中でどう反映させたらいいのか、もっと考えるべきなのではと思います。

 

私は今51歳なので、ちょうど2倍生きられた人生観というのを初めてじっくり味わった。

その匙加減がちょうどいいバランスに思えて、「なるほど」「そうそう」と思いながら読み進めた。

 

私は祖母と暮らした経験がほぼない。

父の母親は私が生まれる直前に逝去し、母の母親ははるか大分県で一人暮らしをしていたからだ。

 

著者と同様に、晩年一人暮らしをしていたその祖母の言葉のように感じながら読ませていただいた。

ずっとそばに置いておきたい、「いい本」であった。

 

やっぱりたまにこういう読書をしてみるべきであると再認識。

思いもよらぬ啓示を受けた気持ちになる。