先日ある勉強会で面白い話を聞いた。
その方は大手メディアの研究部門に所属されており、いろんな会社の業務改善指導のような仕事をされているという。
さまざまな業種の作業工程を実際に見たその方のアドバイスで、ちょっと工夫したら大きな成果が得られたという実例の話であった。
あるカレーチェーン店。工場でカレーを大量に作る作業でのこと。
作業の中でかなり大変なのが、カレールウを手で細かく割る作業だったそうだ。
その方が「この作業は何のためにやるんですか?」と聞いたところ、はっきりした答えが出ない。
この作業は前の工場長の指示で始まったものの、今は「何のため」か明解な理由を誰も知らなかったという。
いわば、昔からそうやっているからやっていたようだ。
そこで細かく割らずにルウをそのまま投入してみたところ、味覚面・品質面でなんら影響がないことが分かったそうである。
結果この作業は不要ということになり、トータル5人でのカレー作り作業を4人で出来ることになった。
加えてにその作業のためのスペースも必要なくなり、さらに以前は懸念されていたルウを細かくする際に包装フィルムが混入するリスクもなくなったとのこと。
同じ工場の他の作業。
別室で出来た包装されたカレーを黄色いコンテナに入れて隣の部屋に移動し、それを台に乗せて最終チェックをして水色のコンテナに入れる、という作業があった。
この作業もその方が必要性に疑問を呈したことから現場で再検討がされ、部屋の壁の一部を空けてベルトコンベアを設置することで、3人で毎日2時間やっていた作業が不要となったそうだ。(壁の改修、ベルコン設置費用は数ヶ月で回収)
この2つの改善により、年に600万円以上の経費削減になったとのことだ。
「これはこうやるもの」という思い込みが、いろんな仕事の中にはあるのだと思う。
この事例は外部の方が客観的に見て疑問に思った作業を、現場の方と一緒に再認識、検討したことで大きな成果を生んだよい事例だ。
私たちも自分の関わる作業の中で、「これは何のためにやるんだろう」と疑問を持つと、かつては必要だったけれど今では不要なものや、まったくやり方を変えることが可能な作業がたくさんあるはずだ。

