身近な何名かが「いいよー」と薦めてくれていたドキュメンタリー映画「人生フルーツ」。
昨年「キネマ旬報ベストテン」文化部門で第1位になった作品である。
福島市内で1週間だけ再上映されていた(~23日)ので鑑賞。
90歳と87歳のご夫婦の姿を追い続ける映画だ。
高度経済成長期に建築家として数多くの団地、宅地造成計画の仕事に携わったご主人・津端修一さん、造り酒屋の娘として育った奥様・英子さん。
秀一さんは、自分が関わりながらも理想とはまったく異なる街並みになってしまったニュータウンの中に土地を買い、憧れの建築家の作品を模した平屋の家を建て周りに雑木林を育てながら「あるべき」生活を始めて約50年である。
庭の畑を、落ち葉集めからの土づくり、70種類の野菜・50種の果物作りまで、2人でもくもくと作業をする。
電子レンジは使わずすべて煮炊きする料理、毎日10通の手書きの手紙、服の機織り、そして家や庭のいたるところに置かれた修一さん筆の洒落たメッセージ板。
「素敵」と一言で表現するにはあまりにも大変な仕事の積み重ねだが、「自分ひとりでやれることを見つけてコツコツやれば、時間はかかるけれども何か見えてくるから、とにかく自分でやること」という信条を貫いた生活だ。
とても真似できる生き方ではないけれども、便利さとか楽さを追求する進化が加速している現代において、「美しく生きる」という考えの大事さを問題提起してくれる、極めて重要なテーマの映画だと私は感じた。
一年半前に見た「ふたりの桃源郷」も自然の中で暮らす老夫婦の物語であったが、
https://ameblo.jp/kotobuki5430511/entry-12221736962.html
伝わってくるものはまた異なるものの、本当にすばらしい作品だと思う。