昨日1月8日、成人式の日本経済新聞に、サントリーの広告が出ていた。
作家、伊集院静さんによる、新成人へ贈る言葉が綴られている。
独りで、旅に出なさい
二十歳、成人おめでとう。
今日から大人と呼ばれても、ピンとは来ないだろう。私もそうだった。
今、君は自分がどんな大人になるのか想像もつかないだろう。
どうしたら君の、自分なりの大人の姿が見えるだろうか?
そのためには、いろんなものを自分の目で見て、さまざまな人と出逢うことだ。
私の提案は、旅だ。それも若い時に、独りで旅に出ることだ。
日本でも、海外でもかまわない。一番安いチケットを買いなさい。金がなければ
君の足で歩き出せ。自分の足で見知らぬ土地を歩き、自分の目で、手で、肌で
世界に触れることだ。
どんな人がどんなふうに生きているかを見ることだ。
インターネット、テレビ、新聞、書物で知る世界とはまったく違う世界だ。
世界は君が考えているより広く、大きく、豊かで、また切なく、貧しくもある。
独り旅はまず、自分がまだ何者でもないことを教えてくれる。
自分の力で歩くことが、人生の、生きる基本ということを学ぶだろう。
若い時になぜ旅が必要か? それは若い新鮮な目にしか見えないものが、今の
純粋なこころでしか獲得できないものが、間違いなくあるからだ。
旅に疲れたら、夕空を、星を仰いで一杯やればいい。
苦くて、美味い、旅の酒の味は、生涯の宝になるはずだ。
二十歳の旅人に、乾杯。
伊集院静
私が22歳の時に、日本中を徒歩で旅した
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のも、この文章のような理由であった。
自分の身一つでなんとかするしかない状況で、日本各地を実感したかった。
ネットも携帯もなにもない時代だったおかげもあって、あらゆる景色や出来事や出会いを、自分でダイレクトに受け止める1年を経験したことが、今の自分の原点になっていると思う。
もちろん自分が体験し価値を感じたし、若い方々にもぜひやってもらいたいと思うので、この文章にまったく同感である。
大事なのは1人(独り)で行くということである。
孤独も辛さも、喜びも感動も、そしてどっちに行くかの判断も、全部自分1人で受け止めるということに意義があるのだ。