少し前に東京に行った際、知人と夕食を一緒にすることになった。
お店はお任せしたところ、「大塚駅」で待ち合わせという。
あまりにもなじみのない場所で「なぜに大塚？」と思ったが、「とにかく任せて！」と確信を持っていうのでご一緒した。
ガラガラと扉を開けて入ると、見事なコの字カウンター。
「深夜食堂」の店がもっと小奇麗で、一回り、そして奥行は倍に大きくなったイメージ。
こんな怖い顔のマスターではなく、粋な感じの女将さんがここに立っている。
５時台の早い時間だったが、結構お客さんがいる。そしてお客さんはほとんどが1人呑み。
どの方も静かに手酌してお猪口でお酒をいただいている。
メニューは１０品ほど。
アルコールはビールと徳利の日本酒。
何か掲示物に書かれているわけではないが、この店は「静かに飲む店」という文化が常連客に染みついている店だと席に着いてすぐに感じた。
知人もよく一人で来ているらしい。
今回は私と一緒であるが、話はひそひそ声。
といって窮屈ではない。店の雰囲気がいいので、壊さぬよう静かに会話を楽しむ感じである。
いつも大声で笑いながら飲む私には、不思議で、心地よい時間であった。
１人呑みの常連さんは、ほどよく酔ったいい具合で「おあいそ」となるのも暗黙の了解のようだ。いかにも泥酔したような客はいない。
そして会計では、女将さんが料金を木製でちょっと大ぶりな「そろばん」で計算して下さる。
これがまた粋でいいのだ。
現在主流といえる「便利さ」や「カッコよさ」や「安さ」ではなく、こんな「粋」を優先した空間に入ってみると、なんだかとてもいい気分になる。
大塚・江戸一
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132302/13003833/
ネットで調べると、「大塚に江戸一あり」と言われる名店なのだそうだ。