とても惹きつけられる文章に感化され、すぐに予約をしたのである。
土木技術に魅せられて―若手技術者に伝えたいこと
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気になって著者のことをちょっと調べたら、高知県のコンサルタント会社の社長さんであった。
たまたまその日、このブログを書くきっかけになった同じく高知の宮内さんに会う予定があり、その話をしたところ、著者とは面識があるという。
早速ページを開いて読む出すと、止まらなくなって一気に読んだ。
著者・右城猛さんの、これまでの技術者としての人生をご自身が綴った内容である。
擁壁や落石対策の瀬瑛や技術開発が専門である右城さん、とにかく行動、実践の方だ。
序文、この本を書いたきっかけが記されているのだが、それはある若い技術者の研究発表を聞いたことにあった、とある。
(以下、本文抜粋)
実は、この会社で以前「土木技術に魅せられて」と題する講演をさせていただいたことがあった。三十代の頃に私は、会社の仲間に手伝ってもらって身近な材料で土圧や支持力、落石運動などの実験をよくしており、その経験は後々の研究にずいぶんと役にたった、という内容の話であった。
彼(注…研究発表をした若い技術者)は、このときの私の話に触発され、今回の実験を行ったと言うのである。
最近はマニュアルに頼る技術者が多い。自分の考えを言える技術者が少なくなっている。そうした中で、私の話を聞いて、実験によって問題を解決しようとする若者が一人でも増えればこれほど嬉しいことはない。
確かにパソコン、インターネット、IT技術の急速な進化により、実体験の少ない技術者が多いという実感が私たちにもある。
だからこそ、右城さんの行動力は痛快感を感じるほど力強い。
右城さんが影響を受けたという言葉がたくさんちりばめられているのだが、すべてが「行動」につながる言葉なのもうなずける。
「十年間は一生懸命勉強しなさい。後はその貯金でやっていけますよ」
「当たって砕ける」
「すぐに実行する」
「挙手して質問する」
そして一番響いたのが、以下の老子の言葉。
「聞いたことは、忘れる。見たことは、覚える。やったことは、分かる。見つけたこと(発見したこと)は、できる」
この通り、書き出すとキリがない。
この本に書かれた、右城さんの行動と実践、そしてその根底にある技術に対する思いは、「担い手確保」の言葉のもとに新しい流れが生まれつつある建設業にとって、もっとも必要なことの1つではないかと思う。
「土木技術に魅せられて」、素晴らしい言葉である。
休日が多いとか、給料が高いとか、それ以前にこの言葉のような思いで若い人が建設業を志すような取り組みをしていかなければ、と思うのだ。