わが業界でもっとも尊敬する方の一人であり、このブログを始めるきっかけを下さった高知の宮内さんが隣の新潟県に来られたので、ご尊顔を拝みにお邪魔した。
懇親会で酔いもほどほど回った頃、30年以上前のご自身のエピソードを聞いた。
当時宮内さんは仙台市在住で仕事をされていた。
社内でトラブルが発生した時、自身に対するあまりの対応に若かりし宮内さん激怒し、その場で会社を飛び出し、車を走らせて新潟まで来てしまったというのだ。
この新潟に来てしまう感覚、私はとても分かる。
男はつらいことがあると日本海を見たくなるのだ。
その夜、公衆電話から信頼している上司だけにお詫びの電話をいれた。
「すみませんでした」
と謝ると上司の方はすぐに
「金はあるか?」
と問うたというのだ。
このシチュエーションでの「金はあるか?」という言葉を聞いたとたん、不覚にも涙がツツーっと落ちた。
その時公衆電話の中で宮内さんも涙が止まらなかったそうだ。
まるでドラマの名シーン名セリフのように感じた。
直属の部下が社内でブチ切れて会社を飛び出し、かなり時間を経過してからようやく連絡が入る。
最初に発した言葉が、「バカヤロウ!」でもなく、「何やってんだ!」でもなく、「どこにいるんだ?」でもなく、「金はあるか?」。
ちょっと乱暴な言葉のようにも思えるが、上司から部下への深い思いやりがダイレクトに伝わるのだと思う。
このエピソード、誰もが納得出来る説明をつけることは難しい。ピンとこない方も多いかもしれない。
だが私の心には深く刻まれたのは間違いない。
ご本人による回想はこちら
http://blog.goo.ne.jp/isobegumi/e/e32dda15bdd8a4b690fb81e0a7bd8fd7