まだ全然、下げ足りません | 寝ぼけ眼のヴァイオリン 寿弾人kotobuki-hibito

なかなか激しく株価が暴落しています。

とはいっても、この程度の暴落では私の含み損はほとんどビクともしません。

 

これはそもそも私の待ち望んでいる大暴落ではないんですよね。

今回の暴落の原因は基本的にイスラエルがイランに報復攻撃をしたということ。

これによりおそらくイランはまた報復するでしょうし、このまま中東での戦争が本格化するだろうということで暴落しているわけです。産油国が集中する中東の地政学的リスクですから、原油も値上がりを始めました。

これで鎮静化の兆しを見せていたアメリカの物価もまた上昇する可能性がありますから、FRBが年内にも数回の利下げに踏み切るだろうという株式市場にとって楽観的な観測も遠のき、不安とともに下げているわけです。

そもそもこの半年近くの株価上昇は、AIによるプチバブルともいえるものだったので、その上げた分を少し巻き戻している、という感じですかね。いわゆる「調整」も入っている。

 

私の待ち望む大暴落は、アメリカ経済が完全にリセッション(景気後退)に入るというものです。

しかもソフトランディング(軟着陸)ではなく、ハードランディング、もしくはクラッシュ(墜落)です。

ということで、想定しているのは株価の3割から5割の暴落ですから、まったくたいしたことのない暴落なのです。

 

勝手な想定ですが、このままイスラエルとイランの関係が膠着化したら、株式市場はすぐに活性化し始めて、また株価は上昇していくだろうと考えています。

とはいえ、アメリカの経済が底堅いわけではまったくないと思うんですよね。

 

アメリカの経済が堅調であるかどうかを見る数字は、例えば小売売上と失業率です。

 

まずは小売売上です。

アメリカは個人消費で経済が回っている国です。さらに言うと、カード決済のクレジット社会です。

クレジットは現金がいま手元になくても物が買えるシステムですから、アメリカ人が国内で消費をすればするほど、実際のマネーサプライ(通貨供給量)以上の価値が社会に付与されます。

だから小売売上が高ければ、アメリカ人の消費性向は堅調ということで、経済は失速しないと考えるわけです。

FRBが判断する小売売上は数字は確かにずっといいんですよね。

でも調べる人はその実態まで調べています。

つまりアメリカ人の貯蓄がそろそろ尽きてきて、クレジットカードによる借金も返済できない人が増えてきている。

 

そして失業率については、逆イールド(債券の長期金利と短期金利が逆転する現象)発生中に、これが上昇してくると、これまでの歴史ではほぼ確実にひどい景気後退になります。

この失業率も低いままで、「アメリカ経済は強いね」と一般的には言われていたのですが、これについてもちゃんと実態を分析する人はいる。

まずこの発表されている失業率の内訳を分析してみると、なんとフルタイムの労働者は激減し、パートタイム労働者が増えている。さらに実はこの失業率を低く抑えているのは、バイデン政権になって激増した移民労働者が多く、アメリカ国籍を持つ労働者の失業率は高くなっている可能性がある。

 

アメリカはこれから本格的な大統領選に入ります。

バイデン政権はこれからの時期、何が何でも国内景気を悪くするわけにはいきません。

そこでありとあらゆる手を使って景気をよく見せようとします。

歴史的な大暴落は、施政者がありとあらゆる手を使ってもなお、経済を救えなかったときに起こります。

そういう点では、私が待っている歴史的大暴落は、着々と近づいてはいますが、まだまだ先のような気がします。

 

ということで、かなり冷ややかな目でいまの暴落を観察しています。

 

それにしてもSNSをうまく使った投資詐欺が本当に横行していますね。

 

なんであんなものに騙されるのか?

 

ひとつは騙される人自身が「お金がほしい」という切実な思いがあるから。

さらには「お金はほしいけど、自分で勉強したり考えたりするのはめんどうなので、誰か教えてくれないかな」という怠惰。

このふたつが揃っていると、イチコロ。

 

投資の世界をある程度勉強すれば、投資の運用益が上がっている人(株の名人だとして)が、庶民のしけた金をかき集めて「代わりに投資してあげましょう!」というのが、いかにナンセンスかすぐわかります。

株の名人はトレーダーとして、もっと巨額の資金を募集します。SNSなんかでちまちまと広告して、たいして資産を持っていない連中を客として募集したりしません。

そもそも顧客が増えるほど、その管理も手間がかかりますから、はなはだ効率が悪いわけです。

投資顧問会社を設立したら、少数の資産家にピンポイントで話を持ち込みます。それが一番、シンプルで効率がいいのです。

そういう有能なトレーダーでさえ、資金運用で大失敗して自殺する可能性があります。

 

なんでそんなことがわからないのだろうか?

 

SNSは本当、ヤバイと思う。

詐欺の装置としてはこれほどお手軽なものはない。

まあ、オレオレ詐欺は、人の人情につけこんで騙すから私は特に嫌いだけれど、こうしたSNS詐欺はそれを見た人の強欲と怠惰につけこんで騙す。そういう意味では、騙される方にも原因があるような気がする。

こういう考えは冷たいだろうか?

 

いまの日本は騙す人と騙される人に分断されている。

騙す人には政治家も含まれている。

騙すわけでもなく、騙されるわけでもない多くの人が、「騙す奴は悪い」と声をあげて怒ってほしいものだけれど、いまの社会に蔓延しているのは「騙される奴ってバカじゃん」という冷笑だと思う。

自分もそういう冷笑をするひとりかもしれない。

どうにもならないけれど、これはとても悲しいことだ。