みなさんもご存知の通り、カナダの公用語は英語とフランス語の2つです。子供の頃は、カナダの人はみんな英語もフランス語も話せてすごいなぁ、と思っていました。こちらオンタリオ州ウィンザー市に来てみると、みんな話すのは英語。そう言えば、ケベック州ではフランス語を話すって聞いたなぁ、ということはケベック州以外では英語だけ?『地球の暮らし方7カナダ2002~2003年版』(ダイヤモンド社・ダイヤモンド・ビッグ社)によれば、ケベック州ではフランス語を母語とする人々が80%以上、ニューブランズウィック州は英語とフランス語を公用語としケベック州に次いでフランス語人口が多く約35%、残りの州・準州では英語が主要言語です。

では、国レベルでは英語とフランス語の2つが公用語とされているのはどういうことなのでしょうか。カナダでは、一般庶民の多くが母語および/または住む州の主要言語のみ、TVのアナウンサーも大半は英語かフランス語のどちらかのみ話します。一方、国境の税関職員、一部の公務員、多くの政治家は少なくとも英語とフランス語のバイリンガル、またはそれ以外の母語を話すマルチリンガルです。そのため、TVで国会中継後の記者会見を見ると、政治家はある記者から英語で質問されれば英語で、別の記者からフランス語で質問されればフランス語で流暢に答えます。ところが、オリンピックの試合後のインタビューには、英語で放送する局では英語を話す選手が、フランス語で放送する局ではフランス語を話す選手しか出てきません。

ちなみに、カナダは英語とフランス語を公用語としていながら、日本のような二ヶ国語放送がありません!英語放送をする局とフランス語放送をする局とに二極化されていて、年中それぞれ英語またはフランス語でしか放送をしません。音声多重放送などというハイテクなもの(日本ではごく普通のものですが)はこちらにはないのです。もしカナダに二ヶ国語放送があれば、もっと英語とフランス語のバイリンガル人口が増えて二ヶ国語公用制が顕著になると思うのですが。残念ながら、二ヶ国語放送の発想すらこちらにはないようです。