オススメ本① 『友だち幻想』 | 『ことばの学校』 ブログ

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友だち幻想―人と人の“つながり”を考える (ちくまプリマー新書)/菅野 仁
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著者は、現在、宮城教育大学教育学部の教授で、専攻は「社会学」。


筆者は、序文にあたる「はじめに」で、「友人重視志向」の日本の高校生について触れています。日本、アメリカ、中国、韓国の高校生に「若いうちにぜひやっておきたいこと は何か」という質問をしたところ、日本の高校生は、「一生つきあえる友人を得たい」「人間関係を豊かにしたい」という回答の割合が他の三国に比べて突出していたそうです。


一方で、現実にあるいじめや引きこもりなどの社会問題。人との親しいつながりを重視すると同時に、人間関係に悩み、問題を抱える、特に若い世代の人たちに、専門である社会学の見地から、「現代社会に求められる親しさとはどのようなものか」をとらえ直す「見取り図」を描いています。

第1章では、「人は1人では生きられない?」という問いかけに対して、「1人でも生きていくことができてしまう社会だから、人とつながることが昔より複雑で難しいのは当たり前だし、人とのつながりが本当の意味で大切になってきている」と述べ、「つながりの問題は、こうした観点から考え直したほうがよさそう」だと続けています。


さて、著者が対象と考えているのは、高校生くらいの世代の、まさに、友だち関係に悩んでいる人たちだと思いますが、中学入試でも多くの学校で出題されています。

この友人関係に関する現代日本の問題が、さらなる若年層にも及んでいるということも考えられます。

各章の中には、「心が休まらない『メール即レス』」や、「同調圧力-友情が脅迫になる」「『話せばわかる』も幻想」「恋愛こそ幻想を持ちやすい」など、インパクトのある小見出しが踊っていますが、内容は、若い世代向けということで、ひじょうに分りやすい、ソフトな文体で書かれていますし、専門用語の羅列でやたら格式ばった文章ではありませんので、小学生高学年以上であれば読みやすいのではないかと思います。