言語聴覚士の木村です。
先週は雨の中、朝から小学校の旗振り当番をこなしてきました。
その日は、実は私の誕生日(^^;;
冷たい雨に濡れてすっかり冷えてしまい、
「一体なんの罰ゲーム?」と思ってしまいました(ー ー;)
知り合いのお子さんの話です。
知能検査の結果が非常に良い(110以上)自閉症のお子さんです。
検査の下位項目のバラつきもそれほど目立ちません。
言語面の数値も高いです。
でも、実際の生活場面では、
困ったことがあっても自分から訴えることができません。
ある日塾の先生が、
「先週の宿題プリントを出してください」
と言いました。
その子は、何のことか分からなくてキョトン。
すると先生から、
「〇〇君、持ってこなかったの?
次回持ってきてね」
と言われました。
〇〇君、実は宿題が出された日に、
塾を休んでたのです。
宿題も知りませんでした。
〇〇君は、どうしたらいいのか分からず、
「はい」
答えました。
そういう時についニヤニヤしてしまうんです。
その結果、
「宿題忘れたのに笑ってるんじゃない!」
と、責められてしまい、
本人はとても傷ついてしまうのです。
その日は家に帰ってからお母さんに打ち明け、
お母さんが塾に電話をして、
プリントをもらってないことを伝えたのですが、
先生は、
「その場で言ってくれたら良かったのに」
と。
そして次の時には案の定、
「なんで言わなかったの。そういうことは自分でちゃんと言いなさい。いつまでもお母さんに頼んでたら、おかしいよ」
と言われてしまいました。
検査結果だけみると、
ことばの遅れもないし学校の勉強もついていけるから、問題なさそうと思われがちです。
でも、知っていることばを
実際の場面に合わせて使うというのが難しく、
検査結果との間に乖離が目立ちます。
自閉症スペクトラムのお子さんには、
こういうことが、しばしば見られます。
日常には突発的な出来事がたくさんありますから、混乱して言葉が出にくいのです。
困った時に援助要請ができる、
というのも大切なスキルです。
こういう時にはどうしたらいいか?
誰に何て言ったらいいか?
ということを普段から一緒に考えて教えてあげることが、必要なんだと思います。
また、悩みがある時に、
誰かに相談できる術があると、
精神的に安定します。
自閉症スペクトラムの方は、
とても真面目です。
誰かに何か言われると、
「自分が悪いんだ」と必要以上に自分を責めることもあります。
そんな時に、
「こういう考え方もあるよ」
「相手は違う考えかもしれないよ」
と、視点を変えるアドバイスしてくれる人の存在があるのは大きいです。
年齢が大きくなると、
お母さんには話しにくいという人もいるでしょう。
なんらかのサポートを受けているなら、
そこの専門家の人やスタッフの人が、
良い相談相手になれると思います。
また、学校の中でも
養護の先生やスクールカウンセラーの先生など、
話しやすい人がどこかにいると思います。
冒頭のお子さんに限らず、
言語療法でことばのスキルを学ぶのも必要ですが、
少しでも安心して集団生活を送れるように、
サポートを考えて行くのが支援なんだと思います。
お問い合わせは、お気軽にどうぞ
ことばの相談室【結】
木村寿代
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