神との対話23(五百枝杉との対話編) | 西澤ロイ(コトバの宇宙探検家)

神との対話23(五百枝杉との対話編)

熊本の幣立神宮にある五百枝杉(いおえすぎ):


五百枝杉@幣立神宮




五百枝(いおえ)杉かぁー・・・

樹齢どのくらいなんだろう・・・

この太さといい、枝っぷりといい、

すごいなー・・・



<…ありがとう…>



え、この、頭の中に響く声はまさか・・・

・・・

五百枝杉さん・・・?



<…そうだとも。神様と対話をしている

あなたにとって、特に不思議なことには

思えないが…>



いやいや、まさか「木」とお話ができるとは思って

いませんでした。

だからちょっとビックリです。



<…なるほど。

 確かに、厳密に言えば「話」をしている

 わけではないから、「話せる」と思えなくても

 まあ仕方ないだろうね。

 でも実際には、こうやって「通じ合う」ことは

 できるのだ…>




そうなんですね!

勉強になります。



ところで五百枝杉さん。



<…なんだね?…>



あなたは樹齢どのくらいなんですか?



<…冬を何千回超えただろうな。

 もう数えておらんよ…>




一体どうやってそんなに立派に育つ

ことができたんですか?



<…どうやるも何も、私はただ

 ここに存在してきただけだ。

 敢えて言うなら、幸運だっただけだ…>




またまた~。

ご謙遜を。


「成功の秘訣」みたいなのが

実はあるんじゃないですか?



はっ、この「幣立(へいたて)の森」の杉さんたちは

みなさん樹齢な何千年もあるわけで、

みんな成功者みたいなものじゃないですか。

この森に伝わる秘密が実はあったりして……?



<…仮にそんなものがあったとして、

 それを知ってどうするのかね?…>




みんな知りたいに決まってるじゃないですか~。

その成功の秘訣を少しでも取り入れたら

私も成功できるのかなって。



<…なるほど。いいことを教えてあげよう。

 あなたは成功の星の元に産まれている…>




えーっ、ホントですか!?



<…まずはそれを信じられることが

 成功への第一歩だよ。

 よし、では私がなぜ“成功”できたか

 教えてあげよう…>




わーい♪

よろしくお願いします!



<…まず、先ほどあなたは私に対して

 「すごい」と言ってくれたね。

 一体何がすごいのか教えてくれるかな?…>




えーと、

だって、ものすごく大きいじゃないですか。

樹齢もものすごいし。



もちろん、周りの杉さん達もすごいけど、

五百枝杉さんが特にすごいんです☆


他にいないというか。

そう、ナンバーワンだからです!



<…実はあなたも「すごい」んだよ…>



え、私?

いやいやいやいや、全然です。

すごくなんて全くありません。



<…よろしい。

 では私がなぜあなたのことを「すごい」と

 考えるかを説明してあげよう…>




はい、よろしくお願いします。



<…さきほども言ったが、私は単に

 幸運だっただけだ。

 この地球上で木は無数に生まれ育っている。

 しかし、うまく根付けなかった種もある。

 日当たりが悪くて育てなかった芽もある。

 雨が降らずに枯れてしまった苗もある。

 台風で折れてしまったり、山火事で燃えて

 しまったり、人間によって切られたものもいる…>




確かに。。。



<…私たちは、あなたがた人間とは違って

 移動したり、「選ぶ」ということができない。

 だから、自分で環境を変えることはできないのだよ。

 与えられた環境が全てなのだ…>




ふむふむ。



<…あなたは私が大きく育ち、長く生きている

 ことで「すごい」と言う。しかし、全ては偶然に

 過ぎないのだ…>




杉だけに。



あ、ちょっとシリアス過ぎるかなと思って

ボケを入れてみました。



<…(無言)…>



・・・



<…(無言)…>



あわあわ。

ごめんなさい!

出過ぎたマネをしておりましたら、申し訳ありません。



<…相手が杉だけにね…>



あはは。

やたっ!

コントに付き合って下さり、ありがとうございます☆



<…これがコントというものか。生まれて初めての

 経験だから、どう返してよいか、かなり戸惑って

 しまったよ。

 それにしてもあなたはすごいね…>




そうなんですか?



<…神様とコントをするだけでなく、まさか

 この五百枝杉にコントデビューをさせるとは…>




えへっ。



<…まあ、話を戻そうか。あまりボケ過ぎると、

 五百枝ボケ杉とか呼ばれそうだからね…>




確かに!

年齢的にやばいですもんね。



<…それに、五百あるのは枝じゃなくて、ボケるネタ

 じゃないか、とか言われるようになっても困るしな…>




ちょっとだけ見てみたい気もしますが。



<…まあ、話を戻そう。

 木は、宿命をただ受け入れて生きるしかない。

 それを変える術を持たないのだ。

 つまり、あなたが言う「成功」を手にできる要因は

 「偶然」しか存在しない。

 しかし、あなたがた人間は違う。

 自分で移動し、行動し、選択する自由がある。

 環境が気に入らなければ移動する自由がある。

 引っ越した先にもし問題があれば、さらに変える

 ことができる。運命を好きなだけ切り開けるのだよ。


 また木は、根と枝を伸ばし、葉を茂らし、光合成を

 することしかできない。一生それを続けるのだ。


 しかし人間はどうだ。

 趣味。仕事。学問。旅行。交友関係。飲み会。

 何だって自由に選ぶことができる。

 木である私たちからすると、自由があるというのは

 ものすごいことなのだ…>




そんなに自由じゃないですよ。

お金がなかったり、才能がなかったり、

ないものだらけです。



<…そうやって「ない」ものばかりに目をやって

 「不自由」だと思うのも「自由」の一部なのだ。

 木には、もとから自由はない。

 つまり、そもそも不自由さえも存在しない…>




ということは、不自由を感じずに済むんですか?



<…その通り。

 ただ、自由も同じように存在しないのだ。

 「今日はどこに行こうかな? ルンルン♪」

 などとワクワクすることがないのだよ…>




それはイヤかも。。。



<…「ランチに何を食べようか」とか、

 「自分に合う仕事に就く」とか、海外旅行とか、

 そういう贅沢を私たちは一生経験できないのだ…>




ということは、私たちが悩むのは、

もしかして幸せな証拠なんですか!?



<…そう言うこともできるだろうね。

人はどんなに頑張ったって100年ちょっとしか

生きられないかもしれない。

しかし、限られた時間だからこそ、それを大事に

することができるのだ。「大事なものを選ぶ」という

自由も、それを実際に「大事にする」という自由をも

得られるのだよ…>




はー、なるほど。



<…「自由」というのは、言い換えるなら

「無限の可能性」ということだ。

あなたは、私が長年生きているからすごいと言う。

しかし、私には可能性はない。決まったことを繰り返す

だけだし、偶然しかなかったのだ。

でもあなたがたはどうだ。無限の可能性を持っている。

それが、あなたが成功の星の元に産まれているという

ことだよ…>




でも、成功するとは限らないじゃないですか。



<…その成功の定義を決めるのもあなたなのだよ。

「成功できなかった」と思って諦めることもできる。

でもそこで「成功できなかった」と定義しているのは

他ならないあなただ。


一つだけ真実があるとすれば、あなた方は、

死ぬ瞬間まで挑戦を続けることができる。

それが無限の可能性を生み出すのだ。

その可能性に気づかないことも、知りながら無視する

ことも自由だ。でも、それは私のような杉の木が

どんなに欲しても永遠に手に入れることのできない

ものすごい可能性なのだよ…>




(※これはあくまでもパロディーであり、フィクションです。)