肉の前菜・肉 | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

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ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

オーストラリアでホームステイしていた家には小さな庭があった。

小さくてもしっかり大きなバーベキューコンロが備え付けられているのが、なんともオーストラリア。
私たちはよくそこで、肉やウィンナーを焼いて食べた。

ちなみにオーストラリアのバーベキューに“野菜を焼く”という概念はない。
ただひたすらに、肉やらウィンナーやらが並んでいる。

肉の大きさも、私が「3~4人前?」と思う塊が一人にひとつ割り当てられる。
もちろんそれは、数ある肉のうちのひとつなわけだけれど。

どう考えても、この人数で食べる肉の量ではないよね?!
という量の肉が毎回当たり前のこととしてそこに並ぶ。

そりゃあ大きくなるワケだ。


ある日の夕方、ホストマザーがキッチンで鳥手羽のグリルを出してくれた。
飲み物片手に立ってつまむ。
普段の食事とは違って台所ご飯は何だか楽しい。

ただこの時、ご飯やパン、野菜など他のものは用意されていなかった。
バーベキューをするのかと思っていた私は、メニュー変更になったのかなと首を傾げながらもその時間を楽しんでいた。


 今日のご飯は鳥手羽のヨーグルト焼きかぁ。
 おしゃれだな~。
 でも珍しく、他のものがないんだな。
 (ホストマザーは、私の帰国後レストランを開いてしまったくらいの料理好き)
 足りないかもしれないから、たくさん食べちゃお~っと♪


鶏肉は私の好物。
おまけにオーストラリアに行ってからというもの、確実に胃が大きくなっていた私。
野菜が欲しいという本音はあったものの、調子に乗ってパクパク食べ進めた。

そう、私は甘かった。
オージースタイルをこの時の私は全然理解していなかったのだ。


 うーん…お腹いっぱい


満足したその時。


 「さぁ、バーベキュー始めるよ~!!」


 嘘っ!?


あの大量の鳥手羽は前菜だったという事実。