メキシコには世界遺産がたくさんある。
そのひとつ、テオティワカン。
太陽のピラビッドと月のピラミッドがあるところは、世界中からの観光客で溢れている。
たくさんの人。
そう、溢れかえる、“たくさんの人”。
今日はこの言い回しのお話。
ホストマザーは知っている日本語を口にするのが大好き。
溢れかえる人を見ては何度も繰り返し口にした。
「たくさんの人」
うん。そうね。
スペイン語で言えば『Muchas personas』
『たくさんの人』はとの対訳となるわけだから、別に間違ってはいない。
でも、何か、変。
そう、メキシコ人はあの状況を見たら確かに言う。
「Oh...muchas personas」
でも日本人は言わないのだ。
「たくさんの人」とは。
私だったら「すごい人…」とか「すごい人だね」と言う。
「たくさんの人」とは、言わないのだ。
これが口語と文語、はたまた意味と感覚での表現と訳した表現の違いなんだなぁ…と思った。
『すごい人』の『すごい』は、素晴らしいとか立派といった意味の『すごい』とは違う。
『とても』と同じ意味の『すごく』を使った言葉。
『すごくたくさんの人』が略された上に口語的な言い回しになった表現なのだと思う。
…なんて、こんなチャンスでもなければ考えなかったけれど。
日本語っておもしろい。
おそらくこういう言い回しは、どんな言語にもあるのだろうけれど。
残念ながら私の言語能力だと、日本語しかここまでの検証はできない^^;
『Muchas personas』は『たくさんの人』。
確かに間違ってはいない。
でも私だったら『すごい人』と言う。
本当はそう伝えたかった。
でも彼女たちは過去に誰かから『たくさんの人』と言うのだと学んでいた。
“それは間違ってはいないけれど、この状況で言うには不自然だから『すごい人』と言った方がナチュラルでオススメだよ”
カタコトでもそう伝えたらよかったのかもしれない。
でもそれに対して「どうして?」「何が違うの?」と聞かれたら答えられない。
…と、余計なことをアレコレ考えて、結局伝えられないまま帰ってくることになってしまった私なのだった。