素敵なナンパのかわし方 | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

初めての海外一人旅はイギリスとイタリア。
2週間ロンドンでホームステイをし、1週間シュールズベリーでファームステイをした私は、イタリアに向かった。

まったく英語が話せなかった当時。
英語圏であるイギリスでわけがわからないながらも過ごしてきた私は、イタリアに着いたとき
「なんとかなる!」
と根拠もなく思っていた。

3週間のイギリス生活で度胸がついていた。
ああいった人間の力は、本当におもしろい。


さて、イタリアで訪れた街はミラノとフィレンツェ。
ミラノには友人が、フィレンツェには従姉妹が当時暮らしていた。

珍しい従姉妹の来訪ということで、フィレンツェにいる間、6歳年上の彼女はすごくよく面倒を見てくれた。
医者にかかった私をケアしてくれたり、無理のない範囲で観光に連れて行ってくれたり。

…そう、私は大きく体調を崩してしまっていたのだ。

まぁそれは置いておいて。


夕飯を食べた帰り道、前から歩いてきた2人組のイタリア人男性が声をかけてくる。
軽く言葉を返す彼女。
笑いながら何かを言い、すれ違う彼ら。

当時の私は、まったくイタリア語がわからない。


 「何て言ってたの?」

 「『イタリア語話せる~?』って聞くから、『話せないよ~』って答えたの。
  そしたら『話してるじゃーん!』って(笑)」


おおっ!
通りすがりのナンパだ。
しかもめちゃくちゃ軽い。
まるであいさつ。
イタリア人って、こうなのか!

日本のナンパとはちょっと違う、何ともスマートな、本気度の低い軽い声かけ。
もちろんイタリア人同士ではないから…というのはあるだろうけれど。

かっこいい、と思った。
イタリア人男性ではなく、軽くかわした従姉妹が。

私もあんな風にさらっとナンパをかわしてみたい。
その程度なら…今ならイタリア語で答えられるんだけどな。

でも…

緊張してドギマギする自分になりそうな予感もするから…

まだまだ修行が必要かな?(笑)