『カタカナ英語』という言葉があるように、
日本人が話す英語には似たような波がある。
これは明らかにイギリスやアメリカやオーストラリアやニュージーランドで
英語のネイティブスピーカーに話されている英語とは違ったリズムだ。
教育によっては…というより英語の基礎がまだできていない時点で
出会う英語教師や英語のネイティブスピーカーによっては
日本で暮らす日本人でもそうならずにすむことはもちろんある。
でも残念ながら、「カタカナ英語」や「日本語英語」を話さない相手から
英語のリズムなり発音なりを受け取らないと、
『日本語』を話す癖のついている日本人は「日本語っぽい英語」を話すことになってしまう。
これはひとえに環境によるもの、
そしてそれによって培われた人間の耳と口によるものだ。
そしてこれは、何も日本でのみ起こっていることではない。
中国人は中国語っぽい発音で英語を話すし
韓国人は韓国語のような発音の英語を話す。
タイ人はタイ語っぽい英語だし
ベトナム人はベトナム語っぽい。
東南アジアの人たちと話していると
国は違えどあのあたりの人っぽい発音の英語だな~…
なんて思うことはしょっちゅう。
カタカナ英語がいいとは思わないけれど
これはどこの国でもある程度起こることなのだということは
知っていてもいい。
さらに言うと、海外の日本語学習者の話す日本語で、
まったく同じことが起こっている。
どういうことかというと
中国人の話す日本語、韓国人の話す日本語、アメリカ人の話す日本語…
どれも“その国らしさ”が出ているということ。
正確に言うと、“その国で話されている言葉らしさ” が。
たとえば中国語話者を例にしてみよう。
中国語には四声がある。
つまり中国語は、その四声の高さの範囲の中で
すべての会話が行われているのだ。
音のない、文字だけのこの記事で伝わるかわからないけれど
昔からよく耳にするあのフレーズ
「ワーターシ、チュウゴクジン アールーネー」
(わかるかな?^^;)
たぶんこれは、実際に中国語話者が口にしたのではなく
日本語を話す中国人の特徴を捉えて真似をした日本人がいたのだと思う。
日本語は、語尾が下がっていく言語だそうだ。
逆に中国語は、語尾だろうが何だろうが、必ず四声の高さの範囲に納まる言語。
だから「中国語の発音ぽい日本語」となると
あのフレーズのような波になるということらしい。
伝わるだろうか?
ああ…
私が声でお届けできれば一発なのに!
そんな風に、言語というものは母国語の影響を強く受ける。
ましてやそれが“学んだ言語”だったらなおさらだ。
その言語らしい特徴を捉える前に、知識や単語を詰め込まれ
赤ちゃんのように体の中で消化して感覚を養う前に
アウトプットを余儀なくされることで、その言語らしさから遠ざかってしまう。
豊かな言語環境とアウトプットするまでのゆとりのある時間が与えられれば
もっと多くの人が違った結果を得るだろうとは思うのだけれど。
現代社会はせわしない。
今年に入って私は、何人かアフリカ出身の人たちと出会った。
ひとことでアフリカと言っても大陸。広い。
現地語も豊富だし、公用語も国によって
英語・フランス語・アラビア語・スワヒリ語と様々。
でも何故か、彼らの話す日本語のとあるフレーズが
驚くほど同じ波なことに気がついた。
それは
「すみませ~ん」
これ。
ああ…これも文字だけで見たって伝わらないだろうけれど…
言わずにはいられない。
すごくおもしろいの。
「すみませ~ん」
どうしてそんな言い方なの?!
あなた達には、そんな風に聞こえているの?!
何というか…
ずいぶんアホっぽいのだ、あの「すみません」のリズムは。
一体アフリカの、何が影響してああいう「すみません」になるのか。
何とも言えない脱力感。
とりあえず今のところ、アフリカの国々出身の人以外から
あのアホっぽい「すみません」は聞いたことがない。
かわいいんだ、あの「すみませ~ん」(笑)