ロシアからやってきたR君はクラシック音楽が大好き。
今通っている大学(医療系)の前は
2年ほど音楽の学校に通っていたらしい。
というわけで、札幌に来ても行きたい所はコンサートホール。
見たいものは楽譜。
「ロシアではよくクラシックコンサートを聞きに行くの?」
と尋ねれば
「うん。月に数回!」
と、かなりの筋金入り。
私も音楽は大好き。
クラシックも大好きだ。
「R君はピアノを弾くんだ~!私はマリンバを弾くよ」
「ショパン大好き~v」
なんて盛り上がって、ホッと一安心。
でも彼の音楽への想いと知識には遠く及ばない。
そんなR君。
やっぱり札幌でもクラシックコンサートに行きたいという。
「オーケストラでもピアノでもいいから、何かある?」
と聞かれ、探してみた。
ちょうどこの時期、札幌ではPMFが開催されている。
彼のスケジュールと講演スケジュールを照らし合わせて
あーでもない こーでもない。
「この日の演奏曲目教えて」
なんて言われて、必死に説明した。
まさかクラシック音楽について、英語で説明する日がこようとは~!
当たり前だけれど、『変ロ長調』とか『イ短調』なんて言っても通じない。
「合ってるかなぁ?」なんてちょっと不安になりながら
『ハー フラット メジャー』だの 『アー マイナー』だのと説明。
何とか通じた!
どんなことでもそうだけれど、
こういうときに付け焼刃の知識なんて何の役にも立たない。
私、音楽経験があってよかった。
母が音楽好きでよかった。
切々と思った。
コンサートホールの大きさや座席のことなど
彼の疑問は尽きない。
もともときっちりした性格の彼。
すべてをきちんと把握していたいようだ。
「小ホールなら、明日チケットを買いに行っても買えないかも?」
と心配そう。
ならば…とインターネットで調べてみると、案の定売り切れだった。
「ダメだ…、売り切れみたい」
そう説明するのだけれど、通じない。
どうやら 「Sold out」 が理解できないようだ。
ダメかも…と思いつつも、期待を込めた目で見つめてくる彼。
仕方ない。
それならいっそ、自分で確認してもらったらいいんじゃない?
そう考えた私と夫は、ローソンに行って見ることを提案。
近くのお店にスペシャルマシーン(Loppi)があるから、
売り切れてなければすぐに買えるよ!
すぐそこだから、行ってみよう!
でも、それが通じない。
困った。
それなら…
よし。
「パシュリー!」
外を指差して言い放った。
その途端、それまで理解できなくて困っていた彼が反応した。
即座に。
「今~っ?!」
それはそれは、絶妙なタイミングのツッコミだった。
一般的に共通語は英語。
彼も、日本に来たら英語を話さなきゃという意識があった。
(日本語でもいいんだけど~!)
でもしょせん、英語はどちらにとっても母国語ではないのだ。
「Let's go!」 と言っても伝わらないときは伝わらない。
でもそれが、ほんのひとこと
彼の母国語になった途端、コトバが生きた。
時間が動いた。
「今~っ?!」
あのリアルツッコミは間違いなく、ロシア語で言ったおかげ。
相手の言葉で話すってこういうことか! と、
またひとつ、オモシロイ発見ができたのだった。
ちょっと大変だったけど(笑)