質問じゃないよ、覚えた文章だよ! | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

ロシアからR君がやってきた。

日本語は話せず、英語も話し慣れていないという彼。
おかげで私たちのロシア語が少し増えた。

最終日。
「ロシア語の単語、いくつか覚えたよ~」
なんていう話をしながらお見送り。

「パシュリーでしょ、ダバイ イェスチでしょ、スパティでしょ、ウスタルでしょ…」
思いつく限りのロシア語を口にする私。

「あ、『カク パルスキー?』っていうフレーズも!」
と言った途端、彼が変な顔をした。


 何?

 何??


何か言っている。
でもよくわからない。

ただ、何だかどうも通じていないということだけはわかった。


 何だろう?


少し考えて気がついた。


 『カク パルスキー?』

つまり

 「ロシア語で何ていうの?」


彼は、それを私からの質問だと受け取ったらしい。
“何について聞いているの?”と言いたかったようだ。

でもこの時、私は特に何かを指してそのロシア語をたずねていたわけではない。
「『カク パルスキー?』というフレーズを覚えたよ!」
という話をしていただけ。

それが通じていなかった。


実はこういうことって、けっこうある。

母語以外のことばがカタコトの人との会話の最中に
単語というよりフレーズ…文章についてたずねると
文章そのものへの回答がきたりして会話がかみ合わなくなるのだ。

それと同じ現象が、この時も起こった。


何とか説明し、理解してくれた彼。
直後、ひとこと言われた。

「それは『単語』じゃない」


 わかってるよ~!!(笑)


フレーズでしょ?
どうやら『word』は聞き取れても『phrase』は聞き取れなかったみたい。

何事にもきっちりしたい性格の彼。
こういうのって、国民性の違いというよりも性格の問題だ。


 ソコ突っ込むんだ!

…と、ちょっと笑えた(笑)