日本人に書けない日本語 | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

2013年6月9日。
札幌の街が一丸となって盛り上がるYOSAKOI ソーラン祭の最終日。
実は同じ日に、少し離れた場所では北大祭が開催されている。

北大は、都心部の大学ではなかなか見るチャンスのない、
そこが独立したひとつの街のような、大きなキャンパス。

その北大祭、私は各国からの留学生が出店する露店目当てで訪れる。

現地の人たちが作った現地の料理。
それを食べる楽しみはもちろんだけど、それよりもっと楽しみなのが
現地の言葉で少しでも会話をすること。

「こんにちは」「ありがとう」を言えるだけでも、何だかとっても嬉しくなる。

会話したさに、お腹いっぱいなのに無理に買って食べ続けたのは昨年の話。
さすがに今年は自重したけれど…^^;



さてその北大祭。
今年はオモシロ日本語を発見して楽しんだ。

北大で学んでいる留学生は、必ずしも日本語が堪能なわけではない。
中には勉強や研究はすべて英語でやっているという学生もいる。

そんな彼らが出店するテントには、来る人に伝わりやすいように
日本語で書かれたメニューやら説明やら写真やらが掲げられている。
そこにはほほえましい日本語の数々が。

たとえばこれ。
ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間-20130609北大祭03
『小麦粉』が『むぎこ』に。
気持ちはわかる!『こ』がひとつ足りなかったけど!
辞書で調べたのかな?


次はこれ。
ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間-20130609北大祭06

『たまねぎ』が『たまにぎ』に。
確かにね、文字から入らなかったら『たまにぎ』に聞こえるのかもしれない。

そういえば私がオーストラリアにいたとき、ホストシスターが
元総理の中曽根さんのことを『なかそに』と言っていた。

『ね』と『に』、
あちらの人には同じ音に聞こえるのかな?

ちなみに『レントル』も、日本人なら『レンティル』って書きますね。


これと同じ、音から入った(そう聞こえた)からそう書いたのね~
という例がこれ。
ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間-20130609北大祭04
『チキン』が『チッキン』に。
確かに!小さい『ツ』の存在を知っているのなら
chickenの場合、入れたくなるのかも!


これも同じような例。

ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間-20130609北大祭01
『う』が多い!
でも「ようこそ~!」という日本人の言葉を聞いて書いたのなら
気持ちはわかるわかる!

そしてこの文そのものもなんてキュート!
『カレーへようこそう…』

日本人なら絶対書かないこの表記。
でも『どうぞカレーを食べて。大歓迎よv』
という気持ちがとても伝わってくる。

難しいことをごちゃごちゃ書いたり言ったりするよりも
シンプルに子どものように伝えたほうが
スッと入ってくるという典型!


そしてこれ。
ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間-20130609北大祭02
日本人ならきっと『ボルシチ』って書くところ。
ついでにメジャーなものじゃないけれど
『サワードウ』も、知ってる人なら『サワドー』と書く。

外来語として日本語変換されたからこその言葉。
もとの音をそのまま書くなら違ってくるということだ。

これは『マクドナルド』は日本語で、英語圏の人には通じないというのと似ている!
『マクダーナルッ』って言わないとわからないよ~って。


10年前の私なら「違う」「間違ってる」という方に意識がいっていたかもしれない。
でも今はこれがすごくおもしろい!

こんな小さな紙の中にたくさんの世界が詰まってる^^