方言が苦手…というより、怖いと思うようになったのは
大学に入ってから。
社会に出た後も、たびたびその怖さに怖気づいた。
方言が怖い?
え?
…と思われる方もいらっしゃるだろう。
正確に言うと、方言を話す人からの攻撃がこわかった。
もちろん全員が…というわけではないけれど、大学入学以降
私はたびたび関西出身の人たちに標準語を批判された。
「東京弁てさぁ…」
お高くとまっているように聞こえたり
“標準語”という言い方が気に入らなかったり
理由はさまざまだったらしい。
でもとにかく、敵意いっぱいで「東京弁てさぁ…」と言ってくる。
(もしかしたら相手は敵意のつまりではなかったのかもしれないけれど
言われる側の私にはそう感じたということね。)
そこでまず思うのが
“東京弁じゃなくて標準語なんですけど” ということ。
…なかなかそうは言えない雰囲気なんだけれどもね^^;
私も私の地元の友人たちが話している言葉も“東京弁”ではない。
あくまで“標準語”と言われるものだ。
だからといって
「私たちが“標準”だ!お前達はおかしい」
なんてことを言っているわけではもちろんない。
ただ私たちが話している言葉は、世間一般では“標準語”と呼ばれている。
それだけのことで、これは私が決めたわけではない。
でも西の一部の人たちは、どうもその言い方が気に入らないらしかった。
とくに関西圏の人たちは、東京にいても決して自分の言葉を崩そうとしない。
少なくとも、あの時代の同年代には多かった。
でもそんな敵意を、いきなり私個人に向けられても、困る。
だからすごく戸惑ったし、その敵意は怖かった。
(何度も言うけれど、すべての人がそうだったわけではないのよ!)
逆に、私に聞こえてくる方言はどうだったのかというと、
その語調によっては、それが普通なのかけなされているのか
よくわからないことがたまにあった。
キツく聞こえたりね。
でもそれはもちろん、いつもではない。
大抵は、敵意を込めて標準語をけなされたときだった。
大阪弁も京都弁も、普段話すぶんには「へ~」という感じ。
その子らしさも感じるし、その土地の言葉なんだな~って。
そんな経験が私の中にどんどん蓄積されていってしまったある日
大阪から来た小学生の団体を引率する機会があった。
彼らが聞いてくる。
「なぁ、東京弁って変なんやろ?」
「え?普通だよ?」
「『普通だよ』だって~!『普通やで』って言うんやで~!!」
相手は子ども…とはいえ、集団で来られると怖い。
10数人の大阪っ子に囲まれて言われるそのセリフ。
私はかなり怖気づいた。
怖い。
大阪、怖い。
大阪弁、怖い。
その恐怖は、すっかり私の中に根付いてしまった。
いられない。
360度方言の中になんて、とてもいられない。
シンドイ…
その後さらに何年も経って、私は夫と大阪を訪れた。
当たり前だけど、まわり中大阪弁。
電車の中は怖くて怖くて仕方がなかった。
いろいろなことがあって、今はもう怖くない。
でも、10代後半から10年ほどの間
方言に対するそんな恐怖が、私の中に存在していた。
>『方言が苦手④~方言が怖い 2』へ続く