方言が苦手②~変なの~!と思っていた時代 | ことばの魔法 ことばのチカラ~ことば探検家ひろが見つけたコトバと人間

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ことばに宿る、不思議なチカラ。
人間の言語習得やコミュニケーション能力の奥深さはまだ解明されていないけれど、とんでもなくおもしろい。
気づいたら私のコトバ探検は本格化されていた。

私は方言が苦手だった。
もう、ずいぶん長い間―――。

何故苦手だったのかというと、
おそらく子ども時代、身の回りに存在していなかったから。


私は言葉遣いにとても敏感な子どもだった。
(そのまんま今も、ものすごく敏感なのだけれども^^;)

だからか、間違った言葉使いや言い回しがとても気になっていた。

たとえば「雰囲気」を「ふいんき」という人。
「『ふいんき』じゃないよ、『ふんいき』だよ。
 漢字を見ればわかるのに」
とか
「○○みたいに」を「○○みたく」と言ったり
「違って」を「違くて」と言ったりするのは変!!
とかね。

他にもいろいろ、とにかくすごく敏感な子どもだった。

おかげで作文を添削し合う授業は完璧で、先生に驚かれた
という自慢話にも苦笑い話にもなるエピソードを持っている…のは余談ね^^



そんな私の中学高校時代、普段は(私にとっての)普通の話し方なのに
時々おかしな言い回しをする友人が現れた。

「○○がいたよ」を「○○がいてたよ」と言う彼女。

 『いてた』?

 何それ?

今思えば、彼女のお母さんは関西の人だったらしいから
お母さんからもらった言葉だったのだと思う。

でも当時の私はそんな言葉、知らない。
だから 「この子、時々変な言い方するな~」 と思っていた。

自分の基準から外れると「変なの~」と思うのは
人間誰でもあることだと思うけれど
コトバに関してはおそらく、同世代の子たちより私はきっとずっと敏感だった。

ちなみに今は、関西の方々が「いてる」と表現されることは分かっている。

昨年久しぶりに会った彼女は現在大阪在住。
関西弁に磨きがかかり、『いてる』も健在だった。



またもうひとり。

「5000円」のイントネーションが(私にとって)おかしい子がいた。

文字にすると何と表現したらいいのかわからないけれど
彼女は一時期広島県辺りにいたらしい。

瀬戸内の辺りにお住まいの方々と東京の人の言う
「100円」や「5000円」のイントネーションが異なるという事実を
私は今でこそ知っているけれど、当時は違った。

 変!!

 あきらかにみんなと違うのに何故直さないんだろう?

 気づかないんだろうか…?

なんて、失礼ながら思っていた。


その後何年かして、私は広島出身の女性と出会った。

日本語教師養成講座を受講していた彼女は
「『100円』の言い方を直される~!」
と笑っていた。



まだ『人によって違う』や『地域によって違う』という認識が薄かった
私の中学高校時代。

標準語ではないイントネーションや言い回しはすべて
私にとっては「変なの~!」というものだったというお話。


   >『方言が苦手③』へ続く