子どもには大人ほどの垣根がない。
前の記事に続き、ベルギーでのお話。
ブリュッセルの公園で、地元のお兄ちゃん達と遊んでいる写真が私のアルバムに残っている。
その記録によると、お兄ちゃんたちの真似をして遊具に登った私は降りられなくなって泣いたらしい。
もちろん助けてくれたのもお兄ちゃん達。
11月のブリュッセル。
寒いベルギーという地での、心温まるひとコマだ。
そんなある日、知り合いの家へ行くことになった。
この家がベルギーにあったのか、フランスにあったのか、定かではない。
でもとにかくフランス語を話すおうちに遊びに行った。
そこには私たち(4歳の私と2歳の妹)と似たような年齢の男の子が2人いた。
もちろん初対面。
しかも相手はフランス語。
私たちは、それはそれは楽しく遊んだ。
指差したりジェスチャーをしたりして、何とか意志を伝えて。
新聞紙で兜を折ったりチャンバラをしたり。
とても楽しかった。
そう、とても楽しかったのだ。
言葉が通じないことは、子どもにとっては何の障害にもならない。
(じゃあいつ頃からそれが障害と感じてしまうようになるのだろう…?)
楽しかった。
でも、私はその時、母にこう伝えた。
「言葉がわかればもっとおもしろかったのに!!」
これが、私が初めて『フランス語を話したい!』と心から思った瞬間だ。
日本語以外の言語が話せたらもっと面白い!と思った瞬間。
だからこそ、母は帰国後私を英会話スクールに通わせてくれたのかもしれない。
それにしてもこの時、私は
「あの子たちが日本語を話せたらよかったのに」
とは思わなかった。
そしてこの気持ちは、今も私の中に息づいている。
世界共通語と言われている英語もいいけれど、
できればその国の言葉で、その国の人とお話したい。
「日本語を話せるようになって!」とはあまり思わないのだ。