原子強化ガラスで覆われた闘技場（ステージ）の中にまで微かに聞こえる程の歓声。
「す、凄いっぺなぁ～。お客さんいっぺー入ってさぁ～」
「あ、相変わらずアホ全開だなぁ生駒里奈ぁ～！」
「わぁっ、なぁにさ怒ってんだぁ、らりんちゃん？」
「遊びかなんかと勘違いしてない？」
「してねぇって～。アンダーに上がってからいきなりこんな大舞台だぁ～」
「やっぱ勘違いしてんなこの田舎っぺブスっ！」
「あー、まりっかちゃんまでぇ～。つか、相変わらずお口さ、ワリィなぁ～」
「こんな余興で、FP使ってられないからね」
「あしゅちゃん、でもさぁ～折角相手が、1対10で頑張るって言ってんだからはぁ～。こっちが手ぇ抜いだら失礼だっぺ～？」
「そ、そうですよ。わ、私も頑張ります！」
「ん？ 誰だコイツ？」
「じょ、ジョーさん。その子は研修戦士の蘭世ちゃんだぁ～」
「あーあ、ハンディマッチには御誂え向きだなぁ」
「いやぁでも、蘭世ちゃんとバトった事さあるけど、アンダーに負けない強さだよ～。これじゃ、ハンディさ付き過ぎて、一人の人は数分持つかだべぇなぁ～」
「逆ですよ、生駒さん」
声と共に背後から現れる少女。
「「「ほ、堀 未央奈ぁ～！！」」」
何人かが、驚きのハモりを上げる。
「み、みおなちゃんまで居るなら、あたすと二人とかでも充分ハンディなんでねぇ？」
「ふふ、生駒さん。嬉しい事言ってくれますけど、買いかぶり過ぎです」
「センターまで務めた事あるみおなちゃんが、何言ってるだよぉ～」
「前に言いましたけど、私のセンターは協会側の“演出”でした。でも・・・」
「でも？」
「でも、だからこそ知っているんです。あの人達の実力を」
「へ？」
「そこの堀さんはどーか知らねーけど、ウチらがその一人とまともに戦うなら、びっちりフォーメーションと戦略練って息の合ったアンダーが100人居てもどうかってレベルだよ」
「ホントけ？・・・」
「つまりハンディがあるのは、私たち10人の方って事です」
「正に余興。ファン感謝デーってとこね」
「私らはヒーローショーの戦闘員役。適当にやられておいた方が体力温存できるって事」
「いや～。そっなに強いならファンぽいんつの使いどこだべぇー」
「はっ？ 話し聞いてた？ こんな遊びにFP使ってどおすんの？ 次回からのランキングバトルに温存すべきでしょ！」
「あー、ガードにボーナス付けるって事ですかね。それなら制服（アーマー）へのダメージも抑えられますし！」
「後は死んだフリってな」
ピー・・・
『オフェンス、パワー、スピード、FPチャージ完了。スタンバイモード移行・・・』
「わー誰だよ、言ってる先からFPの無駄遣いしてんの？」
その「無駄遣い」の主は、奇妙な踊りをしながら、堀 未央奈の横に並ぶ。
「みおな～。あんた、まさかビビってんの～？」
「ふ・・・、久しぶりね。ヒナコ」
「あ～！ ヒナコちゃんだぁ～！」
「里奈ちゃんさん。乙っす！」
「ヒナコがキタノ～ダンスだっぺ～☆」
「いひ。闘いの舞ですから。それより、みおな。琴子も絢音もいるからね」
「2期生の力の見せ所だな」
「みおな、蘭世も入れてあの2期生フォーメーションでいこう」
「おいおい。2期生。勝手に盛り上がるなよ。下手に【神】の気を逆撫でして、こちらの体に何かあったらどうしてくれるんだよ？」
ヒナコはツカツカとらりんの前まで行くと笑顔のままで言う。
しかしその目は笑っていなかった。
「先輩、ビビってんなら邪魔だから棄権してくんないかなぁ～？」
「な、何だと、このガキー！」
らりんが上げた腕を掴んだのはまりっかだった。
そして、ヒナコを凝視しながら、まりっかは言う。
「面白いじゃんか～。2期生風情が【神】にたてつこうってんだ。らりん。あしゅ。あたしらも“遊ぼう”よ・・・」
「ま、まりっか・・・」
「あや～～。この10人が本気出したら【神】様も危ねっぺよ」
『それでは皆様お待たせしましたー！ 我等が【10福神】雷帝、橋本奈々未の登場です！！』
《どわああああああああああ！！！》
ドームが揺れんばかりの歓声の中、
中央からリフトされて来たのは橋本奈々未その人だった。
【時はアイドル戦国時代。
余りにも増え過ぎたアイドルの聖域を護る為、
政府は「アイドル保護法案」を制定。
そのルールは可愛さ、可憐さ、そして強さ。
導入されたのはアイドルランキングバトル制。
アイドル達は「制服」を身に纏い、
アイドル最強の称号『センター』を目指す。
これは、闘いの舞台（ステージ）へと身を投じた少女達の、
汗と苦悩と闘いの青春活劇である】
（ここで、皆さんが好きな主題歌が流れますw
僕は今回は、制服のマネキンかな～）
次回は不明ですw
なぼな。
伊藤ガビト