近くに水場がないのに雨の中、どこからか来たのかアマガエル。
ツワブキの葉やらアジサイの葉上に3日ほどいていなくなった。
カエルの声の聞こえない場所に住んでからはや40年。
田植えを終えた後のカエルの声があまりにもやかましく、
人差し指を耳栓にして寝ていた子どもの頃を思い出す。
いろいろな種類のものが好き勝手に鳴くものだから、
騒がしくてうるさかったけれど、うれしくてたまらないように聞こえた。
短くてせわしない鳴き声のなかに、トーンのちがう声が混じる。
それを聞き分けていると、いつの間にか眠ってしまっていた。
カエルの声は、地球上で生き物が出したはじめての「声」という。
自然がもたらす音と魚や昆虫が出す音はあったけれど、
喉から出した本当の声はなかったそうだ。
オタマジャクシがカエルに変身し、水中から恐る恐る這い出し、
地上の世界を目にしたときの驚きはどんなだったろう。
それで目が飛び出た?なんてね。
オタマジャクシとして水中で過ごしたあと、陸に上がりカエルとなる。
エラ呼吸から肺呼吸に変わる過程は神がかりだ。
カエルは、陸上で生きものが生活できるのかどうか試すために
遣わされたのだろうか。
カエルの声が聞こえている限り地球は安全な気がする。
参考文献 「アマガエル」写真/草野慎二・栗林慧
総合監修/日高敏隆