先進国では栄養障害なんてありえない?(次の本の原稿から)

 医師はまじめな人が多いのは良いと思いますが、まじめに習うことだけに熱心な場合は考えものです。習うことがすべてで、自分の頭で考えようとしないからです。
 「今まで習ったことの方が間違いなのではないか」と疑うこともなく、批判的思考をもって検証しようとする意欲も少ない。
 ですから、栄養の工夫で病気が治ると主張しても「そんなことあるわけない」「エビデンスを出せ」の大合唱になってしまいます。
 医学部では栄養学を一切教えません。つまり「先進国では栄養障害なんてありえない」ということが前提となっています。このことが現在の医学教育の最大の間違いです。
 多くの医学会は製薬メーカーがスポンサーとなり、資金を提供しています。学会のランチョンセミナーでは、製薬メーカーから提供された豪華な弁当を食べ、新薬の説明を受けています。医師会館やホテルで行われる製薬メーカーがらみの勉強会もすべてその内容です。

 以下は現在、米国で最も活躍しているオーソモレキュラーの学者、アンドリュー・ソウル氏の記事からの抜粋です。
Orthomolecular Medicine News Service(OMNS)、2011年10月20日、

 どのようにしてアンチビタミンの恐怖を人々に信じさせるようにしているのか?  それは製薬業界のお金をたくさん使うことにより行われている。
  1 著者への現金授受。最近のアンチビタミンE論文を書いた著者の多くは、製薬業界から多額の収入を得ています。
 2 広告収入。多くの人気雑誌やほとんどすべての主要な医学雑誌は製薬業界からの収入を得ています。
 3 新薬の結果を調整する。ビタミンや必須栄養素の健康上の利点についての研究も、また調整されているようです。これは、負の結果を保証するために低用量を使用し、リスクの統計的増加を示すために解釈にバイアスをかけることによって容易に行うことができます。
 4 出版バイアス、または出版のために拒絶されたものの偏見。最も大きくかつ最も人気のある医学雑誌は、製薬広告から非常に大きな収入を得ます。
 5 医師と一般人に利用可能なものの検閲。公的税金は、地球上で最大の国立医学図書館である米国国立医学図書館(MEDLINE / PubMed)の検閲料を払っています。

 1980年代の米国では、法律上の理由から「医師はがんのための栄養処方はつくれない」という状況だったそうです。
 栄養療法は「異端」なので正統な医学界から認められなかったとのこと。「異端」だけではなく、「違法」なので最悪の場合、医師免許を剥奪されることもあったそうです。


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