自然治癒の健康相談ー39,自然治癒の条件
三石巌:全業績ー6、分子栄養学の健康相談、より
前章の各質問で述べた「私のアドバイス」をお読みになれば、その方法が、オーソドックスな専門医のそれと、全然違うことにお気づきでしょう。それは、私の基本的な態度として、さまざまな病気が、栄養条件の不備からおこるという見方があるからです。
一つの症状があれば、その症状の消失に目標を定めるという従来の行き方にたいしてその症状がなにかの栄養物質の欠乏からきているのではないか、という見方をしたうえで、その補給を考えるという行き方を、私はとるのです。その結果として、症状がなくなるのを当然とすることになります。
そういう意味で、私の考え方は、医者的ではなく、素人的なのだと思います。それは、対症療法ではなく、あくまで原因の排除をねらうわけですから、予防が主眼です。よく、自然治癒力ということがいわれますが、栄養条件に欠陥があって、それを望むのはむりでしょう。結局、私の方法は、自然治癒力をフルに発揮するための条件を整えることになるわけです。
一般に自然治癒力を思いつくのは、病気になってからのことですが、それがほんとうにあるならば、そんな病気にかかるはずがないではありませんか。自然治癒力に期待するということは、その病気をはじめから免れることを期待することとおなじわけです。したがって、私の方法は、結局は予防法ということになってきます。私が「ガンは予防できる」を書いた趣旨も、まったくそこにあります。新聞に、ガンの対策を質問する人はありませんので、本書で扱ったガンの質問は、すべて私個人のうけたものになりました。ガンについてももっとくわしい相談をかけたい方には、「ガンは予防できる」をおすすめします。 私のアドバイスの骨子は、高タンパク食、高ビタミン食にあります。高ビタミン食にたいして「メガビタミン主義」ということばがあたりますが、これは、現代最高の科学者ライナス・ポーリングの提唱するところです。そこで私は、高タンパク食、高ビタミン食をあわせたものをメガビタミン主義ということにしたいと思います。
メンローパークにあるライナス・ポーリング科学医学研究所客員教授村田晃氏のリポートによると、そこでは尿の揮発性成分140種を検査し、そのパターンから病気の予知をしているそうです。対策は、いうまでもなくビタミンの大量投与です。ポーリングはこれを「分子矯正医学」と呼んでいます。尿の検査でわかる病気の例は、多発性硬化症、筋ジストロフィー、乳ガン、精神薄弱、精神分裂病、アテローム性動脈硬化、小児自閉症、など広い範囲におよんでいます。
分子矯正医学などというものがあらわれると、従来の西洋医学との関係が問題になります。漢方まで考慮すると、三本の柱ができたかのようにみえますが、いずれはそれらが整理され、統一されることでしょう。現段階は、まさに分裂症状です。分子矯正医学の提唱者が生化学者であって医学者でないことは、けっして弱みではない、と私は思います。
ポーリングは、分子矯正医学が軌道にのるのは、二一世紀のことだろうといいますが、私はそれを先取りする気持ちで、この本を書いているのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
栄養素=タンパク質(必須アミノ酸)+必須脂肪酸+ビタミン+ミネラル。
栄養素の不足があれば、エネルギー代謝を初めとする代謝が滞り、代謝障害を来す。
代謝障害が起きれば病気を発症する。
すなわち、栄養素を満たせることができれば代謝障害は改善し、病気も回復する。
病気の予防には、高タンパク+メガビタミン、それに加えて適切量の脂肪酸+適切量のミネラル。
病気の治療の際には、予防時より栄養素の絶対量を増やすことが必要となる。
元記事はこちら