11/7の記事を再掲
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認知症のアパシー(無欲動)に対して高用量グルタチオン点滴が効果あり

症例:80歳代女性
 認知症症状のため、H23特養入所。不穏、不眠などがあり、抑肝散、グラマリールなどが入所時より投与されていた。入院当初の診断はアルツハイマー型認知症。
H25に入り、パーキンソン症状が出現し歩行が難しくなったため、上記薬剤は漸減後中止。H26に入り、自発的動きが乏しくなり、傾眠傾向、視線も合わない。
H26.6より2週ごとにシチコリン1000mg注射を行うが変化なし。食事トイレは全介助。日中ウトウトして過ごし、声かけにも発語なし、自発的な体動も乏しく、終日ベット臥床。
10/16家族の了承を得てグルタチオン点滴を開始。
シチコリン1000mg+グルタチオン(200)9A+ビタミンC(500)2A
点滴翌日には、表情がはっきりとして覚醒し、問いかけにも声が出るようになり、体の動きも良くなり、食事も自力摂取できるようになった。スタッフによると、”1年前の元気な姿に戻った”と。今後も上記点滴を2週ごとに継続予定。

解説:当初アルツハイマーだった患者が経過とともにパーキンソン症状、アパシーを併発し、ADLが低下した症例。レビー化したと考えられる。

グルタチオンは生体内物質であり、活性酸素の除去作用を持つ。グルタチン+セレン→グルタチオンペルオキシダーゼとなり、細胞内で生じた活性酸素(過酸化水素)を除去するスカベンジャーとして機能する。 
 
グルタチオンは古くからある薬剤(筆者が医者になった頃には既に古い薬)で、以前は肝障害などに200mgを入れた点滴などに使用されていた。
 最近、1000mg-3000mgの高用量のグルタチオン点滴がパーキンソンに有効なことが知られるようになった(柳澤先生の本を参照)。河野和彦先生の認知症ブログではグルタチオンが効果があった多数の症例が提示されている。その内容をまとめると、1)70%程度の患者に効果がある、2)効果は即効性で、注射後すぐに歩行が改善する、3)効果は1-2週間持続、4)用量は1200mg-2400mg、5)ビタミンCを併用すれば効果を持続させる、認知症の傾眠、アパシーにも効果がある。

グルタチオンは保険では200mgまでしか通らないため、それ以上の量では保険外投与(自費)となる。当院では河野先生のブログを参照にして、グルタチオン(200)9A1250円、ビタミンC(500)2A250円に設定している