小中 河童 (佐野の民話 パート3) |  ガチャガチャ おもちゃ箱

小中町の西を流れる旗川に古河橋と言う橋が架かっていました。その橋の下に赤渕と言う深い所があって、そこに年を取ったカッパが住んでいました。
その頃、村人の間では、悪さをするカッパの噂で持ちきりです。
畑を荒らされないよう、考えを巡らしていると、村人の一人がこう言いました。
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「そうだ!だれかが畑の番小屋に泊まって見張り、カッパが悪戯に来たら、懲らしめて遣れば良い!」
相談した結果、その見張り役は、田舎相撲で鳴らした五郎平に頼む事にしました。
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五郎平が番小屋に泊まり、5日目を迎えた夜明け前の事でした。朝モヤの中に怪しい影が…。五郎平は「これはしめた」と、体を伏せて待ち伏せをしていました。
すると、竹藪の中からカッパが現れました。
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五郎平は息をころして近づくのを待ち、「今だ!」と思った瞬間、カマを振り上げながらカッパの前に踊り出ました。カッパも負けじと懸かってきます。
その時です。五郎平はカマを振り下ろしました。
「いてててて!」
カッパの右手が五郎平のカマで切り取られてしまいました。
カッパは夢中で赤渕の方へ逃げて行きました。
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五郎平はカッパの手を持って見竜上人の所へ行きました。見竜上人は大変情け深く、しかも学問のある人で、この辺りでは有名なお坊さんでした。
カッパとの経緯を話し、その手を上人に預ける事にしました。
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 すると、その夜の事です。上人さまの枕の側でさめざめと泣く者がありました。上人さまが目を覚ますと、1匹のカッパが泣いています。
「わたしは旗川のカッパです。今朝、うり畑を荒らし、その帰りに五郎平さんに右手を切り取られてしまいました。どうかその手を返してください」と泣きながら頼むのです。
「でも、おまえは畑を荒らすだけでなく、子供をちょくちょく川の中へ引き込むそうだが、本当か?」
「はい、そんな事もしましたが、もう二度としませんから、どうか手を返してください」
と悲しそうに頼みました。情け深い上人さまですから、悪さをしない約束と共に手を返してやりました。カッパは何度も頭をペコペコ下げて、闇の中に消えて行きました。
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それからと言うもの、畑が荒らされたとか 子供が川へ引き込まれたと言う噂も無くなりました。
何年かの月日が流れ、見竜上人が大和の長谷寺へ行く時、大和川が溢れて川が渡れず困っていました。
そこにひょっこり、小中のカッパが現れ、上人を背中に乗せて、川を渡してやったと言われています。
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