前回の続き
次女ノンも帰ってきて、子ども3人がそろい「保険証の臓器提供意思表示に記入しよう」ということになった。
「母はもう書いてあるの?」と長女に聞かれ
私
「昔は、臓器提供しますって書いた緑色のドナーカードを持ってた。でも、今は持ってなくて、保険証や免許証にも何も書いてない。
理由は2つあって、自分で授業をやったときに、医師による脳死判定の課題を知ったこと。これは20年近く前の話であって、当時は日本で臓器移植が始まって数年しか経ってなかったから、今は変わってきてると信じたい。
もう一つの理由は、子どもが生まれたこと。
仮に・・・
私が脳死になるとするでしょ。脳死だから、交通事故とか脳卒中とかで予期せず死んでしまうことが多い。
まず、突然の母の死に驚きとショックが大きくて、簡単にはそれを受け入れられない。しかも心臓はまだ動いている。
そんな状況の下『生前の母の意思を尊重して臓器提供します!今すぐ、手術室へ運んでください。さようなら、お母さん』って言える?
家族の気持ちを考えると、何がいいのか分からなくなって、今は何の意思表示もしていないわけ」
どストレートに聞かれると、困る。
確かに、ドナーカードを廃棄したあの頃とは状況が大きく違う。
脳死はおろか「死」さえも十分に理解できなかったであろう幼い娘たちは、今や成長してそれぞれ自分の頭で考え、自分の意見を持ち、臓器提供の意思表示をできるまでになった。
母親の私も、自分がどうしたいかを今一度決断する時期なのかもしれない。
決めましたっ!キリッ
とはいかないわけで・・・
「自分で決められないの?」
「なんで人に聞いてんの?」
と、子どもたちにグチグチ言われながらも悩みに悩んで・・・
1 私は、脳死後及び心臓が停止した死後のいずれでも、移植の為に臓器を提供します。
2 私は、心臓が停止した死後に限り、移植の為に臓器を提供します。
3 私は、臓器を提供しません。
1に丸を付けました。
続く